- 著者
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前島 佳孝
- 出版者
- 中央大学人文科学研究所
- 雑誌
- 人文研紀要 (ISSN:02873877)
- 巻号頁・発行日
- no.91, pp.235-260, 2018
政権がその統治領域をどのように区分し、どの地域・都市を重要視していたのかは、政治・経済・国際関係の状況と密接に関わるものであり、相互に検討を深めていくことができる。その際には地図を描き起こすことが重要である。西魏政権については、かつて毛漢光氏が府兵制に基づく地域区分がなされていたという主張に基づいて地図を作成されたが、本稿はその所説に若干の批判を加えるものである。主な問題点として、仮説のベースとなった根本史料たる『周書』巻一六・末尾部分の信憑性が、史料批判の結果、大いに揺らいでいること、地域区分が地理的に不自然なこと、検討対象者に付与する属性の項目に問題があること、判断材料とするデータの採否に恣意的な例が見られること、検討対象者が少ないことなどが挙げられる。