- 著者
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龍崎 孝
- 出版者
- 流通経済大学スポーツ健康科学部
- 雑誌
- 流通経済大学スポーツ健康科学部紀要 (ISSN:18829759)
- 巻号頁・発行日
- vol.12, pp.99-108, 2019-03
第100回甲子園は「最強世代」と表現された大阪桐蔭高が史上初の2度目の春夏連覇を成し遂げた。しかしメディアの関心は,準優勝に終わった県立高の金足農にも多く注がれた。夏の甲子園は地方大会からトーナメント戦を起用した「優勝劣敗」の極みともいえる選手権だが,「雑草軍団」と表象される敗者の金足農が優勝校以上に社会の共感を集めたのは,「甲子園野球」という特殊な「空間」の中で「優勝劣敗」を争ったからに他ならない。主催者・朝日新聞社発行の特集誌と野球専門誌を比較検討する中で,甲子園における高校野球,すなわち「甲子園野球」では,野球競技に求められる技量・能力を超える特殊な「価値」,すなわち「地域代表」「高校生活」をどのように具現化したチーム=組織であるかが求められていることが明らかになった。