著者
龍崎 孝
出版者
流通経済大学スポーツ健康科学部
雑誌
流通経済大学スポーツ健康科学部紀要 (ISSN:18829759)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.99-108, 2019-03

第100回甲子園は「最強世代」と表現された大阪桐蔭高が史上初の2度目の春夏連覇を成し遂げた。しかしメディアの関心は,準優勝に終わった県立高の金足農にも多く注がれた。夏の甲子園は地方大会からトーナメント戦を起用した「優勝劣敗」の極みともいえる選手権だが,「雑草軍団」と表象される敗者の金足農が優勝校以上に社会の共感を集めたのは,「甲子園野球」という特殊な「空間」の中で「優勝劣敗」を争ったからに他ならない。主催者・朝日新聞社発行の特集誌と野球専門誌を比較検討する中で,甲子園における高校野球,すなわち「甲子園野球」では,野球競技に求められる技量・能力を超える特殊な「価値」,すなわち「地域代表」「高校生活」をどのように具現化したチーム=組織であるかが求められていることが明らかになった。
著者
田山 寛豪 荒井 宏和 膳法 亜沙子
出版者
流通経済大学スポーツ健康科学部
雑誌
流通経済大学スポーツ健康科学部紀要 (ISSN:18829759)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.1-10, 2020-03

(背景)試合期のアスリートは,心身の疲労度が高い。近年,アスリートのコンディショニングには良質な睡眠が重要であることが示唆されており,注目されている。本研究は,多数ある競技の中でも1つのレース時間が長時間続くトライアスロン競技に着目した。特に連続する試合期間中のトライアスリートのコンディショニングのための最適な睡眠条件を明らかにした実践的研究に関する報告はほとんどなく実態は不明である。そこで本調査は,大学生トライアスリートにおける試合前および試合後1週間の睡眠状況を記録し,その変化の特徴を捉えることでトライアスリートのコンディショニング指標を確立することを目指した研究の予備的検討である。(方法)本調査では,エリート大学生トライアスリート6名(男性4名,女性2名)を対象とし,9月1日の競技会前後(8月20日~9月9日)における睡眠状況について機器を用いて記録するものとした。(結果)本調査により,6名中5名の大学生トライアスリートにおいてレース前に比べてレース終了5~7日後に熟眠度が10%以上大きく低下することが認められた。特に,レース前,レース当日,レース6日後の熟眠度の変化について統計的に解析するとレース後に熟眠度が低下する傾向であった。すなわち,睡眠質はレース後1週間程度すると低下する可能性がある。これと同時にレース後6,7日目に睡眠時間が短縮している者が6名中5名に認められた。本調査の対象者のトライアスロン競技レベルは高いため,個々の結果に意義があるが,対象者数は極めて少ないため,今後さらに対象者数を増やした研究で本研究の結果を追試する必要がある。(結論)本研究は,大学生トライアスリートにおいてレース前に比べてレース1週間後の睡眠質は低下する可能性を初めて見出した。この結果は,トライアスロン競技会後1週間のトレーニング内容(種類,量,強度,休養時間など)について十分配慮が必要であるとともに次のレースを実施するタイミングについて調整する必要性があることを示唆している可能性がある。特に本研究は,試合期のトライアスリートにおけるトレーニング指導のための一資料を提示したものと考える。
著者
林 直樹
出版者
流通経済大学
雑誌
流通経済大学スポーツ健康科学部紀要 (ISSN:18829759)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.123-129, 2008-03
被引用文献数
2

近年,コンピュータを用いた動作分析やゲーム分析が多くの競技で導入され,戦術構成やフォーム矯正に役立っている。バドミントン競技においても,ゲーム分析の有効性を探し求め,競技の中で有効な戦術構築の手段を得ることを目的とした。大学のリーグ戦において,(1)配球,(2)エース・エラーという観点で分析を行い,得られたデータを選手に伝達し試合にのぞんだ。全体の勝敗は昨年と比べ,10勝12敗から16勝14敗と向上した。対戦組合せや選手の競技力向上は大きな要因であるが,分析をし,作戦をたてて試合にのぞむことは,試合前の姿勢としてはとても有効であると考えられる。そして,よりリアルタイムな情報が有効になる。しかし,バドミントン競技においては,シャトルのスピードが速く,リアルタイムな分析は適さず,観察に依るところが大きくなってしまっているのが現状である。リアルタイムな情報を獲得する為には,組織的に分析を行っていることが必要であると思われる。バレーボール競技では定着している「アナリスト」の存在が必要不可欠となるであろう。
著者
坂本 充
出版者
流通経済大学
雑誌
流通経済大学スポーツ健康科学部紀要 (ISSN:18829759)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.115-122, 2008-03