著者
原田 留美
出版者
新潟青陵学会
雑誌
新潟青陵学会誌 (ISSN:1883759X)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.13-23, 2018-03

紙芝居は、絵本と並んで、幼児教育の場で良く用いられる教材である。その紙芝居のテキストには、幼年童話や絵本とは異なる特徴がある。情景描写や心理の伝え方が簡潔で、地の文は少なくセリフが多い。また、オノマトペ(擬音語・擬態語)を活用することでわかりやすさに配慮する傾向も見られる。しかし、松谷みよ子の幼年童話「ママになんか わかんない」と、それを紙芝居にした『ちゅうしゃにいった モモちゃん』のテキストを比較したところ、山場での主人公の心理については、幼年童話作品以上に筆が費やされていることが確認出来た。紙芝居のテキストはすべてが簡潔というわけではない。紙芝居の読み聞かせの際には、このことを念頭に置く必要がある。丁寧に描かれている部分については、特にその場面の重要性を意識した読み方を工夫し、その作品の魅力が聞き手に伝わるよう配慮することが肝要である。

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