著者
海老田 大五朗
出版者
新潟青陵学会
雑誌
新潟青陵学会誌 (ISSN:1883759X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.11-21, 2021-09

本研究の目的は、「認知症鉄道事故裁判」についての論文や資料を分析することで、この裁判における社会福祉的含意を引き出すこと、および本裁判で問題になったいくつかの記述を検討することである。本研究では、被告支援ネットワークの形成、「リスクの社会化」をめぐる議論、司法と行政の関係、認知症患者が起こした事故を「加害」と記述することへの違和感を考察した。被告支援ネットワークの形成には高齢者福祉や精神保健福祉行政の理念が深く関係していた。また、最高裁判決後、「リスクの社会化」についての議論が盛んになされた。最後に、本裁判と強く関係する「加害」や「徘徊」という記述の不適切性を指摘した。
著者
海老田 大五朗 野﨑 智仁 Ebita Daigoro Nozaki Tomohito
出版者
新潟青陵学会
雑誌
新潟青陵学会誌 (ISSN:1883759X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.29-38, 2016-03

This study describes the design and practice of job assistance at café H. Job assistance is based on community strength and assists mentally-disturbed individuals who want jobs. Specifically, we considered how job assistance is utilized to support these individuals. We found that to optimize the use of the many volunteers who live in the K station community is to optimize for nonprofit organization to manage caféH on the economic front. In this study, we avoid absolutely defining strength. We attempt to describe the design that supports the available mentally-disturbed individuals who want jobs, which generates something good for them.本研究では、地域のストレングスを生かして就労支援を行う精神障害者就労支援施設、カフェHにおける就労支援実践やそのデザインを記述する。とりわけ、「地域のストレングスを活かすこととはどのような実践がなされることか?」を検討した。その結果、K駅近辺在住のボランティア(≒ストレングス)を最大限に活用することは、NPO法人が運営するカフェとして、経済面で最適化されることになることが明らかになった。本研究は、「ストレングスとは何か」と研究者の独断的な定義を避け、精神障害者に何らかのよきものがもたらされるであろうという支援実践者の見通しから遡及的に見出された、支援のデザインを記述する試みである。
著者
平川 毅彦 Hirakawa Takehiko
出版者
新潟青陵学会
雑誌
新潟青陵学会誌 (ISSN:1883759X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.1-10, 2016-03

This paper undertakes a theoretical discussion of Shigeo Okamura's Chiiki fukushi-ron("Theory of Community-based Welfare," published 1974)with the aim of clarifying the challenges inherent in one ofthe theory's key concepts, namely that of the "Welfare Community." Although not so as to radically upset its claims, the conceptual definition and deployment of the Welfare Community has been accompanied by the recognition of certain "fluctuations" in its fundamental logic. Informed by a specifically social-welfare perspective and reconstructed based on subjective and individual principles, the Welfare Community concept can encompass possibilities for local communities in everyday life and the overall social context by focusing on the life challenges faced by specific individuals. In contemporary society, which is growingever more diverse, complex, and all-encompassing, the Welfare Community concept represents an intelligent tool that enables individuals to lead lives of convention amidst diversity. For anyone to be able to master the use of this tool is both the aim of the Welfare Community concept and a future challenge for local communities.本論は、岡村重夫の『地域福祉論』(1974年)をテキストとして、鍵概念となる「福祉コミュニティ」についての理論的検討を行い、その内在的課題を明らかにした。その主張を根底から覆すようなものではなかったが、福祉コミュニティの定義及び展開の中で、柱となる論理に「ゆらぎ」が認められた。社会福祉固有の視点を貫き、主体的・個別的な原則のもとに再構成された福祉コミュニティ概念は、生活課題を抱えた具体的な個人を中心として、日常生活の場である地域社会の在り方と、それをとりまく全体社会を視野におさめることができる。「福祉コミュニティ」は、多様化・複雑化、そして大規模化する現代社会にあって、一人ひとりが「多様なままで」「あたりまえの生活」を営むことを可能にするための知的ツールである。だれもがこのツールを使いこなすことができるようになること、それが「福祉コミュニティ」の目的であり、その先にある「地域社会」の課題である。
著者
原田 留美 Harada Rumi
出版者
新潟青陵学会
雑誌
新潟青陵学会誌 (ISSN:1883759X)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.25-33, 2015-03

A recently-published textbook for teaching Japanese in Japanese elementary schools contains the myth of the "Conquest of Yamata-no-Orochi" as retold by Ryo Kisaka, based on the classical myth in the Kojiki. The present paper compares this retelling with other versions found in picture books for children as well as with the original Kojiki version, in order to elucidate the elementsdesigned to make it more interesting to elementary-school-age children. First, it was found that the Kisaka version begins in a way that disconnects the narrative almost completely from the contents of the section immediately preceding it, thereby facilitating the enjoyment of an independent story. Also for this purpose, a description of the offering of the Kusanagi Sword to the goddess Amaterasu-O-Mikami is entirely omitted. Furthermore, there is a blurring of the distinction between the high status of Susano-no-Mikoto (who descends from the heavenly realms called Takama-no-Hara), and the lower one of Ashinazuchi (who merely dwells upon the earth). Other elements include the omission of graphic details involved in the conquest of Yamata-no-Orochi, simplifying and softening the effect for children. Overall, the adaptations in the retelling therefore made the myth more accessible and enjoyable for young readers, while nevertheless remaining faithful to the original Kojiki version.学校図書から発行されている小学校国語科教科書には、きさかりょうによるヤマタノヲロチ退治神話の再話作品が採用されている。古事記の神話を基にしているこの作品では、子ども達に親しみやすい作品となるよう、どのような工夫がなされているかについて明らかにするために、古事記ならびに他の絵本作品と比較した。その結果、独立した物語として親しめるよう、前段との繋がりに極力触れない書き出しになっており、それに対応して、草薙剣 (くさなぎのつるぎ) のアマテラスオオミカミへの献上の下りが省かれている、高天 (たかま) の原から降りてきたスサノオノミコトと地上世界の神であるアシナヅチとの間に明確な階層差を設けていない、グロテスクな描写を省きオロチ退治の場面の描き方をあっさり描くにとどめている等の特徴があることが分かった。原典に寄り添いつつ、幼い読み手にとって親しみやすい再話となるよう工夫されている作品であると言える。
著者
海老田 大五朗
出版者
新潟青陵学会
雑誌
新潟青陵学会誌 (ISSN:1883759X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.11-21, 2021-09

本研究の目的は、「認知症鉄道事故裁判」についての論文や資料を分析することで、この裁判における社会福祉的含意を引き出すこと、および本裁判で問題になったいくつかの記述を検討することである。本研究では、被告支援ネットワークの形成、「リスクの社会化」をめぐる議論、司法と行政の関係、認知症患者が起こした事故を「加害」と記述することへの違和感を考察した。被告支援ネットワークの形成には高齢者福祉や精神保健福祉行政の理念が深く関係していた。また、最高裁判決後、「リスクの社会化」についての議論が盛んになされた。最後に、本裁判と強く関係する「加害」や「徘徊」という記述の不適切性を指摘した。
著者
海老田 大五朗 酒井 りさ子 嶋津 祐輝
出版者
新潟青陵学会
雑誌
新潟青陵学会誌 (ISSN:1883759X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.25-35, 2019-03

本研究の目的は、自己覚知を自己理解と同一視することによって生じる「実習教育の死角」を顕在化させることである。同時に、ソーシャルワーク実習教育において、実習生の気付きを言語化することの重要性を示す。本研究では2つの実習指導ケースを用いて、2つの考察をした。1つは「自己覚知」から「倫理的葛藤の解消」へと結びついたケースを記述した。もう1つは、「自己覚知」から、実践で共有される方法論の記述と結びついたケースを記述した。実践で共有される方法論を記述することの意義を述べ、実習生の自己覚知を促すことによって記述の精度を上げるべきポイントを特定し、「気付き」そのものを実習指導教育に生かす方法を例示した。
著者
海老田 大五朗 Ebita Daigoro
出版者
新潟青陵学会
雑誌
新潟青陵学会誌 (ISSN:1883759X)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.45-54, 2011-09

The present study offers a detailed description and analysis of the interaction between a judotherapist and patient during a medical interview at a judo therapy clinic. Particular attention ispaid to the way the therapist elicits the information necessary for therapy from the patient, howthe patient provides this information, and how this information is concretized and therapeuticgoals established. By analyzing video data of the body language used by the therapist and patientas they interact, the process of eliciting the needed information and its concretization is describedand analyzed.本研究の目的は、接骨院でなされている問診における、柔道整復師と患者の相互行為を詳細に記述していくことである。とりわけ本研究では、「柔道整復師が患者から施術に必要な情報をどのようにして引き出すのか」、「患者は柔道整復師にどのようにして情報を与えるのか」、「引き出された(与えられた)情報はどのように精緻化されていくか」ということに焦点を当てる。ビデオデータを分析していく中で、柔道整復師と患者との相互行為における患者の判断や身振りなどによって、施術に必要な情報は引き出されたり、精緻化される過程を記述した。
著者
小林 祐子 和田 由紀子
出版者
新潟青陵学会
雑誌
新潟青陵学会誌 (ISSN:1883759X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.13-22, 2015-09

本研究の目的は、退院後の遺体の状況や家族の処置への参加状況から、医療施設での死後の処置の課題を明らかにすることである。葬祭業従事者680名に遺体に関するトラブルや感染予防状況などの質問紙調査を実施し、232名の有効回答を分析した。結果、開口や体液漏れなどのトラブルがみられ、遺体の状況に応じた処置を医療施設から行う必要性が示唆された。葬祭業者の中で家族参加がグリーフケアにつながると考えているほうが参加の声かけを行い、出血や体液漏れなどのトラブルの際には家族の対応が困難になることから、医療施設からの冷却、太い点滴チューブ抜去後の縫合など処置の見直しが求められる。家族は退院後も処置に参加する機会があり、葬祭業者と同様に家族の感染の可能性も考慮した説明が必要である。医療者から感染やトラブルの可能性など遺体に関する情報提供が少なく、そのニーズも高いことから、看護師と葬祭業者間の連携のあり方を検討することが課題である。
著者
斎藤 まさ子 内藤 守
出版者
新潟青陵学会
雑誌
新潟青陵学会誌 (ISSN:1883759X)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.33-42, 2010-09

本研究は、入院体験を契機に肥満となり退院後も肥満が持続している統合失調症当事者の、肥満になったきっかけと肥満が持続するプロセスを明らかにし、援助的視点を得ることを目的とした。N市内の地域活動支援センターに通う 3名の当事者に対して半構造的インタビューを行い、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した。その結果、3点の援助の必要性が明らかとなった。第一に、肥満を予防するために、入院中と退院後の活動性拡大の機会を見逃さない。急性期を脱し回復期初期の段階で、「暇」や「退屈」と感じるときを見定め、慎重に活動性拡大のアプローチを勧めて行く。第二に、抗精神病薬の副作用について正確な知識を普及し、主体的な肥満対策ができるように援助する。第三に、効果的な減量のための家族を含めた積極的な相談体制を確立する。
著者
原田 留美
出版者
新潟青陵学会
雑誌
新潟青陵学会誌 (ISSN:1883759X)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.13-23, 2018-03

紙芝居は、絵本と並んで、幼児教育の場で良く用いられる教材である。その紙芝居のテキストには、幼年童話や絵本とは異なる特徴がある。情景描写や心理の伝え方が簡潔で、地の文は少なくセリフが多い。また、オノマトペ(擬音語・擬態語)を活用することでわかりやすさに配慮する傾向も見られる。しかし、松谷みよ子の幼年童話「ママになんか わかんない」と、それを紙芝居にした『ちゅうしゃにいった モモちゃん』のテキストを比較したところ、山場での主人公の心理については、幼年童話作品以上に筆が費やされていることが確認出来た。紙芝居のテキストはすべてが簡潔というわけではない。紙芝居の読み聞かせの際には、このことを念頭に置く必要がある。丁寧に描かれている部分については、特にその場面の重要性を意識した読み方を工夫し、その作品の魅力が聞き手に伝わるよう配慮することが肝要である。
著者
中村 恵子 塚原 加寿子 伊豆 麻子 栗林 祐子 大森 悦子 佐藤 美幸 渡邉 文美 石﨑 トモイ 西山 悦子
出版者
新潟青陵学会
雑誌
新潟青陵学会誌 (ISSN:1883759X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.1-9, 2013-03

本研究の目的は、熟練した養護教諭が心の健康問題もつ子どものサインをどのように受け取り、どのように養護診断や対応を行っているのか、明らかにすることである。小学校に10年以上勤務している現職の養護教諭4人を対象として、子どもたちの心の健康問題への支援に関する面接調査を実施した。面接内容の逐語録を作成し、修正版グランデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した結果、62の概念と20のカテゴリーを抽出した。熟練した養護教諭は、早い段階で子どもが抱える問題を予測し、情報収集を様々な方法で行っていた。情報を整理・統合し、問題を明確化した上で、支援計画を立案し、対応や連携を図っていた。また、養護教諭は、学校組織の一員である教師としての教育的な視点と、専門的な知識・技能をもつ専門家としての生理学的、臨床心理学的な視点から、心の健康問題の養護診断・対応を行っていることが示唆された。
著者
中村 恵子 斎藤 まさ子 内藤 守 小林 理恵 田辺 生子 盛山 直美
出版者
新潟青陵学会
雑誌
新潟青陵学会誌 (ISSN:1883759X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.1-12, 2019-09

本研究の目的は、ひきこもり支援者の体験と求める支援について明らかにし、ひきこもり支援のあり方について考察することである。ひきこもり支援者3名を対象として、半構造化面接を行い、質的統合法(KJ法)を用いて分析した。 全体分析の結果、ひきこもり支援者の体験と求める支援について、【本人の生きづらさと傷つき感:社会性の乏しさと自分は駄目だという思い】、【本人や親への傾聴によるエンパワーメント:本人に見合った時間の中でのエネルギーの充足】、【本人と親との関係の調整:相互理解と親の変容からはじまる本人の変容と相乗効果】、【社会参加へのプロセス:意欲や自信をはぐくむ本人の困り感や必要性を伴った社会体験の積み重ね】、【本人や親を孤立させない支援:相談しやすい環境と専門家や支援機関による連携】、【支援者を孤立させない支援:支援者どうしの共助とサポート環境の整備】の6つのシンボルマークからなる空間配置が示された。ひきこもり支援において、社会参加に向けた支援や、本人や親、支援者を孤立させない支援が求められる。
著者
海老田 大五朗 引地 達也
雑誌
新潟青陵学会誌 (ISSN:1883759X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.38-48, 2020-09

日本における知的障害児の後期中等教育卒業後の第三の選択肢として、福祉制度を利用した「学びの場」を構築する動きが全国に広まっている。しかしながら先行研究において、「学びの場」における教示内容の精査が十分なされてきたわけではない。そこで本研究では、「学びの場」のであるシャローム大学校とみんなの大学校でのメディア教育実践について、マクルーハンのメディア論を参照しながら記述した。とりわけ知的・発達障害者(精神障害者)に対して最適化された時間と空間のデザインを模索する。キーワードは、「コミュニケーション行為」、「同時間性」、「メディアを使用した遠隔授業の使用方法」である。「学びの場」であるシャローム大学校とみんなの大学校では、障害者を情報弱者にしないために、メディア教育はトラブル回避を念頭に置きつつ、メディア使用によってマクルーハンのいう人間の機能拡張が可能になることが目指されていた。本研究は、こうした教育実践の事例報告である。
著者
和田 由紀子 佐々木 祐子 Wada Yukiko Sasaki Yuko
出版者
新潟青陵学会
雑誌
新潟青陵学会誌 (ISSN:1883759X)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.1-12, 2011-09

The objective of the present research is to clarify, with respect to violence toward nursing staff arising within hospitals, the current status and the psychological effects. For the research methodology, 200 nurses working at a general hospital located "A" prefecture were chosen as respondents, and from Feb-Mar 2010, a questionnaire survey was conducted using the consignment survey method. The contents of the questionnaire sheet included questions pertaining to the current status of violent incidents, their types, the person inflicting the violence,and whether or not the violence was reported, as well as three scales, namely the IES-R, GHQ28 and the Japanese Burnout Scale. As a result, in the past year, 79.0% of nurses have experienced some form of violence from patients or their families, and 26.0% of nurses have experienced some form of violence from staff such as nurses, doctors. The types of violence differed for both, depending on the person inflicting the violence. It became clear that about 80% to 90% among the violence experienced involved those who experienced a plurality of types of violence, and it also became clear that half or moredid not file a victim report. Regarding the results for the current status of violence and the three scales, ANOVA and t-tests were conducted, and as a result, only in cases where the perpetrator of violence was staff such as a nurse or doctor, by scoring points for IES-R and GHQ28, a significantdifference was observed (p < .05). Going forward, we believe that it is necessary to consider having a shared awareness about violence, further clarifying the factors and structure by which violence arises, and constructing an effective system that takes the current status into consideration, inorder to identify such violence and appropriately deal with it.本研究では、病院内で発生する看護職への暴力について、その実態や心理的影響を明らかにすることを目的に、A県内の総合病院に勤務する看護職200名を調査対象とし、2010年2月~3月に託送調査法による質問紙調査を実施した。調査内容は、暴力被害の実態について、その種類や被害を与えられた相手、被害報告の有無についての質問、改訂出来事インパクト尺度(IESR)、精神健康調査票28項目版(GHQ28)、日本語版バーンアウト尺度の3尺度とした。その結果、過去1年間においては,79.0%の看護職が患者やその家族から、26.0%の看護職が看護師・医師等のスタッフからの何らかの被害を体験しているが、暴力の種類は双方で異なること、被害を体験した中の約8~9割が複数の種類の暴力を体験し、半数以上が被害報告を行っていなかったということが明らかになった。また暴力被害の実態と3尺度の結果について、分散分析・t検定を行ったところ、看護師・医師等のスタッフからの暴力体験にのみ、IES-R得点・GHQ28得点で有意差がみられた(p<.05)。暴力についての認識を統一し、その要因・構造をさらに明確にしていくこと、及び実態に即して被害を吸い上げ対応するための効果的なシステムを作ることが必要と考えられる。
著者
中村 恵子 Nakamura Keiko
出版者
新潟青陵学会
雑誌
新潟青陵学会誌 (ISSN:1883759X)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.21-31, 2017-03

The purpose of this study is to clarify the psychosocial process of disability acceptance of the people with development disabilities who are going to employment transfer support offices. A semi-structured interview was conducted with 8 people with development disabilities who were diagnosed withdevelopment disabilities and were going to employment transfer support offices. As the result of analyzing the result of the interview with a modified grounded theory approach, 5 categories and 12 concepts were extracted. The people with development disabilities who were in troubles like dropout, disemployment, and depression, etc, <searched for supporting organizations> <because they wanted to get out of their current situations>, and eventually started going to the offices. They are deepening the ≪recognition of the development disabilities≫by checking the disability characteristics and behavior characteristics,reinterpreting their experiences like troubles in working and human relationships, and finding similarities with familiar people with disabilities. The ≪recognition of the development disability≫ that is a corecategory also has impacts on the <appropriate self-control> and the <self-metacognition>.本研究は、就労移行支援事業所に通所する発達障害者の障害受容の心理社会的プロセスを明らかにすることを目的とした。発達障害の診断を受け、就労移行支援事業所に通所する発達障害者8名を対象として、半構造化面接を行った。修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて面接内容を分析した結果、5つのカテゴリーと12の概念が抽出された。 中退や離職、鬱病といった状況に陥った発達障害者が<このままではいけないという思い>から<支援機関探し>を行った結果、事業所に通所するに至っている。障害特性と行動特性を照合したり、仕事や人間関係上のトラブルなどの経験を再解釈したり、障害をもつ身近な人と自分の似ているところを見つけたりして、≪発達障害であることの認識≫を深めている。コアカテゴリーである≪発達障害であることの認識≫は、<適切な自己コントロール>や<自分についてのメタ認識>にも影響を与えている。
著者
平川 毅彦 土橋 敏孝 武田 誠一
出版者
新潟青陵大学・新潟青陵大学短期大学部
雑誌
新潟青陵学会誌 (ISSN:1883759X)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.11-18, 2010-03
被引用文献数
1

本研究は新潟市中央区に居住する55 歳から59 歳の男女を対象としたアンケート調査データに基づき、これから高齢者となる世代をいかにして「元気高齢者」にしていくのか、その課題を検討したものである。調査結果から以下のようなことが明らかにされた。65 歳以降の生活で、「収入」「自分の健康や病気」「家族の健康や病気」に不安を持っている。現在の生きがいは「友人との交流」「家族との団らん」「就労」が中心で、65 歳以降は「友人との交流」「家族との団らん」「趣味のサークル活動」を想定している。地域生活に関しては、近隣と「あいさつを交わす程度」であり、半数近くが地域活動に参加したことがない。65 歳を迎えたその日から「高齢者」に、そして地域に貢献する「元気高齢者」となることは不可能である。しかし準備段階世代のデータを見る限り、現時点における地域社会との関係性は強いものではない。「元気」、更には地域社会の在り方そのものに関する議論も含めた検討が必要である。
著者
帆苅 真由美 倉井 佳子 五十嵐 恵 児玉 直子 金子 史代 Hokari Mayumi Kurai Yoshiko Ikarashi Megumi Kodama Naoko Kaneko Fumiyo
出版者
新潟青陵学会誌
雑誌
新潟青陵学会誌 (ISSN:1883759X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.39-47, 2016-03

In this study we looked at the team approach taken to provide rehabilitation care, whereby nurses, physical therapists, and occupational therapists work together to support acute phase stroke patients to regain their independence and improve their performance of activities of daily living (ADL). The aim ofthe research was to clarify the factors affecting the team approach from nurses’ perspective. Ten nurses who are engaged in acute phase stroke rehabilitation took part in semi-structured interviews regardingcollaboration between nurses, physical therapists, and occupational therapists. The results were analyzed using a qualitative synthesis method (KJ method). It was found that collaboration was promoted by “ensuring achievement of the team objective by fulfilling professional duties and reaching a cooperative relationship,” based on “ providing support to stabilize the medical condition,” “ demonstrating empathetic understanding and providing support to patients with paralysis, aphasia, or other disabilities” and “providing support in prioritizing patient’s physical and mental security,” and that nurses’ recognition of the factors that affect the team approach included “ selecting appropriate methods to ensure smoothinformation-sharing,” “ reaching consensus in decision making based on proactive suggestions” and “coordinating work and providing support of ADL.” The findings suggested that information-sharing and consensus in decision making between the different professions are important factors to fulfill professional duties of each profession and to promote the cooperative relationship. 急性期脳卒中患者の日常生活動作の自立と向上を支援する看護師、理学療法士、作業療法士によるチームアプローチの要因を看護師の視点から見出すことを目的に、急性期脳卒中患者のリハビリテーションに関わる看護師10名に看護師、理学療法士、作業療法士の連携について半構成的面接を行い、質的統合法(KJ法)を用いて分析した。看護師が認識するチームアプローチに影響する要因には、【病状の安定に向けた支援】【麻痺や失語等の障害に対する共感的理解と支援】【心身の安全を最優先にした支援】を基盤にして、【目標を達成するための各職種の業務の遂行と補完の関係】により連携を図っており、【円滑な情報共有のための手段の選択】【主体的な意見提案による判断の一致】【看護業務の調整とADLの支援】が影響要因となっていた。職種間の情報共有と判断の一致が各職種の業務の遂行と補完の関係を推進する重要な要因となることが示唆された。