著者
荻布 優子 川﨑 聡大
出版者
奈良学園大学
雑誌
奈良学園大学紀要 = Bulletin of Nara Gakuen University (ISSN:2188918X)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.33-47, 2019-09

本研究の目的は、児童期におけるRey-Osterrieth Complex Figure Test(ROCFT)と書字正確性との関係を探索的に広く検討することである。対象は公立小学校の通常学級に在籍する1~6年生404名とした。書字正確性の指標には小学生の読み書きスクリーニング検査(STRAW)を採用した。その結果、ROCFTとSTRAWは相関関係にあり、視覚情報処理過程と書字正確性の間には一定の関与が示唆された。ROCFT成績からSTRAWで測られる書字正確性を十分に予測することは難しかったが、3年生および5年生ではROCFTの低下の有無が書字正確性の低下に関与することが明らかとなった。これはSTRAWの課題特性が結果に反映されたことも一因であると考えられた。本研究の結果は、発達性読み書き障害の指導や背景要因を探る事例報告による知見を支持するものである。ただしROCFTの低下は書字低下の絶対条件ではなく、同様に書字正確性の低下した児童が必ずしもROCFTにも低下を認めるとも限らない。書字正確性の指標の信頼性および妥当性の検証が必要であり、そのうえでの発達心理学的観点から書字正確性と視覚情報処理過程の検討が必要であると考えらえた。

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