- 著者
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斉藤 美香
- 出版者
- 札幌学院大学総合研究所 = Research Institute of Sapporo Gakuin University
- 雑誌
- 札幌学院大学心理学紀要 = Bulletin of Faculty of Psychology Sapporo Gakuin University
- 巻号頁・発行日
- vol.2, no.1, pp.13-27, 2019-10-31
本研究は大学生のメンタルヘルスリテラシー(以下,MHL)が援助要請行動にどのように影響を与えているか検証することを目的とする。調査方法は大学生163名にビニエット(想定事例)を提示し,MHL,事例への対処法,事例の当事者であった場合を想定した対処法,友人であった場合を想定した対処法,自己肯定感尺度,専門家への援助要請態度尺度からなる質問紙を実施した。ビニエットを用いることにより,具体的な場面をイメージし,当事者性をもって回答しやすくなり,大学生が考える現実味ある対処法について知ることをめざした。分析の結果,MHLのうち状態の深刻さと精神的な病気の可能性を認知でき,援助要請行動の肯定的結果が想定されることが専門家への援助要請行動の促進に関与することが明らかになった。自分が当事者だと想定する場合は,専門家よりも身近な家族や友人への援助要請を選択することが示された。論文