著者
和田 忍
出版者
中央大学人文科学研究所
雑誌
人文研紀要 (ISSN:02873877)
巻号頁・発行日
no.93, pp.107-133, 2019

アングロ・サクソン後期にイングランドで活躍した聖職者アルフリッチ(Ælfric)は多くの古英語散文を書き残したことで有名である。そのアルフリッチが書き残した説教である『聖人伝』(Lives of Saints)には,アセルスリース(St Æthelthryth),スウィズン(St Swithun),オズワルド王(St Oswald),エドマンド王(St Edmund)という4人のアングロ・サクソン期のイングランドにまつわる聖人の説話が含まれている。(ローマン・ブリテン時代の殉教者であるオールバン(St Alban)を含めると5人である。)アルフリッチがこれらの聖人を採用した理由の1つとして,アングロ・サクソン期のイングランド人になじみ深い聖人の伝説を通じて,彼らのキリスト教への崇拝意識を高めるという目的が考えられる。また,これらの説教にはイングランド人に対してキリスト教への篤い信仰を求めると同時に,ヴァイキングの脅威といった当時のイングランドの辛辣な状況を諭す内容も含まれている。そして,Godden (1994)は『聖人伝』以前に作成された『カトリック説教集』(Catholic Homilies)よりも『聖人伝』の方がヴァイキングの影響を強く受けた内容になっていると述べている。本稿では,イングランド土着の聖人という特定の説話における内容および語彙の調査から,アルフリッチのヴァイキングに対する意識を考察する。アルフリッチは,時を経て再び勢いを増すヴァイキングに対し,自身の著作を通じて積極的に関わり,ヴァイキングの脅威をイングランド国民に伝えようとしていた様子が窺える。

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こんな論文どうですか? イングランド人のヴァイキングに対する態度 : Ælfric's Lives of SaintsにおけるEnglish saintsの説話を中(和田 忍),2019 https://t.co/rSP9mUcb4V アングロ・サ…
こんな論文どうですか? イングランド人のヴァイキングに対する態度 : Ælfric's Lives of SaintsにおけるEnglish saintsの説話を中(和田 忍),2019 https://t.co/rSP9mUte6V アングロ・サ…

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