- 著者
-
金丸 彰寿
- 出版者
- 神戸松蔭女子学院大学学術研究委員会
- 雑誌
- 神戸松蔭女子学院大学研究紀要 = Journal of Kobe Shoin Women's University : JOKS (ISSN:2435290X)
- 巻号頁・発行日
- no.1, pp.135-148, 2020-03-05
本稿では、社会福祉法人よさのうみ福祉会の理念と実践を分析することで、青年期・成人期以降における障害者の発達支援及び地域支援のあり方について検討した。よさのうみ福祉会は、「行政力」「地域力」「福祉力」の「三位一体」の取り組みを行っていた。そして、障害者の発達要求に基づいて発達支援及び地域支援が展開されていたことを明らかにした。発達支援は、なかま・職員・地域住民の連帯を通して、障害者の発達要求を地域の担い手として組織することである。地域づくりは、障害者と地域住民の要求を練り上げ、地域社会の民主的な連帯を支えるよう組織することである。この三位一体の取り組みの原動力になったのは、与謝の海養護学校づくり(1960 年代~)を継承・発展している、よさのうみ福祉会における地域福祉実践運動の蓄積であった。今後の課題は、「学びの作業所」や「専攻科」の実践と、よさのうみ福祉会の福祉支援における実践的な同異を探りつつ、発達要求に基づく障害者の発達支援及び地域支援のあり方をより精緻に検討することである。