著者
片山 綾 佐伯 大輔
出版者
大阪市立大学大学院文学研究科
雑誌
人文研究 : 大阪市立大学大学院文学研究科紀要 = Studies in the humanities : Bulletin of the Graduate School of Literature and Human Sciences, Osaka City University (ISSN:04913329)
巻号頁・発行日
vol.71, pp.129-142, 2020

「将来のために禁煙して健康な身体を手に入れるか、目の前の煙草を吸うか」といった、将来の目標達成と目先の快楽のどちらを選択するかの問題は、心理学の様々な分野において、セルフ・コントロールの問題として扱われてきた。本稿では、遅延される大きな利得を選択することをセルフ・コントロール、即時に得られる小さな利得を選択することを衝動性と定義し、これまで行われてきたセルフ・コントロール研究を概観する。まず、心理学におけるセルフ・コントロール研究の先駆けである満足の遅延パラダイムに基づいた基礎研究とその応用可能性、さらにそれに関連したセルフ・コントロールの強度モデルについてその概要を説明し、問題点を指摘する。次に、その問題点を解消するために、セルフ・コントロールを行動分析学の観点から扱う意義について考察し、これまで行動分析学で行われてきたセルフ・コントロールに関する基礎研究とその課題について整理する。最後に、それらの課題を踏まえて片山・佐伯(2018)によって新しく提案されたパラダイムを紹介し、基礎研究と応用研究の両方の側面から、今後の展望を述べる。

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