著者
中村 文哉
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学学術情報 (ISSN:21894825)
巻号頁・発行日
no.13, pp.41-91, 2020-03-31

ともに「慢性伝染病」に分類される「癩」と「結核」は、1904年の省令「結核豫防ニ關スル件」および1907年公布の「癩豫防ニ關スル法律(件)」を端緒に、明治後期、それらの豫防関連法規が整備されていった。更に、両疾病の特効薬となった抗生物質は1950年代前後から実用化され、化学療法の途により、治癒に至る消長の過程も、重なる。沖繩縣においても、「本土」と同様の過程を辿った。本稿は、戦前期の「癩」および結核予防関連法規およびそれらの各條文から、沖繩縣の関連地方制度も踏まえ、相互のネクサス(nexus)を、引き出す。そして、それらのネクサスから、これら予防法の前提をなす「論理」を照射する。以上の考察を踏まえ、「癩」および結核の豫防法関連法規には、病者・患家を取り締まる「淸潔方法及消毒方法」に象徴される国家利害を前提とした感染予防対策・病者所と在宅療養とを抱きあわせにした論理、「療養ノ途ナキモノ」への救恤の論理、療養所構築による入所療養の論理が混在・共在する法理が示され、患者の医療に関する規定が希薄であること、そしてそれらの混在ないし共在が、〈豫防法〉といわれる法規の特性であることを、論示したい。

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@tos CiNii 論文 -  戦前期の「癩」および結核予防関連法規のネクサスについて : 沖縄本島下のハンセン病と結核 https://t.co/CFwllovNEt
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