- 著者
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金子 充
- 出版者
- 立正大学社会福祉学会
- 雑誌
- 立正社会福祉研究 (ISSN:13454609)
- 巻号頁・発行日
- vol.9, no.1, pp.19-30, 2007-09
ホームレス(野宿者)が抱えているニーズは,これまで必ずしも十分に理解されてこなかった.彼らのニーズは,生命の危機にかかわる緊急なものから,慢性的な栄養不足や脱水状態,慢性疾患や感染症,精神疾患,意欲喪失,住居や居場所の喪失,長期失業,多重債務,家族不和,社会的排除など,複雑かつ多岐に渡る.こうしたホームレスに対する自立支援の取り組みとして,ホームレス自立支援法を基盤とする各種自立支援事業が展開されてきた.路上における相談事業,緊急一時保護施設や自立支援センターにおける自立支援,NPO等による宿泊所やグループホームの取り組み,そしてアフターケアなど,ホームレス自立支援のメニューは豊富になり,さまざまな工夫がなされている.だが,そのなかで,ホームレスの生活支援や自立支援にかかわるソーシャルワーカーの仕事の意義や専門性が強調されたり,当事者のニーズをふまえたソーシャルワーカーの援助技術(価値・知識・技術)が蓄積されたり,体系化されることはほとんどないままである.「ホームレス自立支援ソーシャルワーク」の意義を明らかにし,ホームレスが抱えるニーズを確認しながら,ホームレスにかかわるソーシャルワーカーの活動内容と技術の中身を体系化していかなければならない.原著論文