- 著者
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豊福 実紀
- 出版者
- お茶の水女子大学ジェンダー研究所
- 雑誌
- ジェンダー研究 : お茶の水女子大学ジェンダー研究所年報
- 巻号頁・発行日
- no.23, pp.143-164, 2020-07-31
日本における女性の就労に対する税・社会保障の" 壁" は1980 年代に顕在化し、2010年代に変更が加えられたものの、なお存続している。" 壁" が存続してきた要因の1 つとして政権党である自民党の保守性が考えられるが、女性の就労に関する自民党の姿勢については解明されていない部分が多い。そこで本稿は、女性の就労に関して自民党が、世論や左派的な政党と比較してどのように保守的だったのかを問うべく、世論の変化を見たうえで、1980年代と2010年代の税・社会保障制度改正における国会発言の分析を行う。分析の結果、1980年代には自民党の姿勢と世論とのギャップは大きくなかったが、2010年代に世論と中道・左派政党が女性の就労継続を肯定するようになったとき、自民党は男性稼ぎ主モデルから外れて働く女性に関心を払わない姿勢をとったことが示され、自民党の右傾化の議論との関連性が示唆される。