著者
与那覇 恵子
出版者
名桜大学
雑誌
名桜大学紀要 (ISSN:18824412)
巻号頁・発行日
no.21, pp.29-40, 2016-03

米軍初期占領下の沖縄において,壊滅状態となった沖縄の政治経済,教育文化の復興に携わった米軍政府の米軍将校,兵士がいる。彼らは海軍のエリートであり知識人であり,「軍政要員」として訓練された人々であった。「軍政要員はどのようなキャリアや考えをもち,初期占領下の沖縄においてどのような役割を果たしたのか」が本論のリサーチ・クエスチョンである。その問いに答えるため,軍政要員の中でも特に名前が知られているハンナとワトキンスに焦点を当て,彼らの人物像,考え方,沖縄における活動について沖縄側,米軍側両者の資料を基に調査した。高学歴の研究者である彼らは占領地となる地域の歴史文化をよく理解していた。その任務は住民と共に戦後の地域復興に従事し,占領環境を整備するというものであった。彼らの活動は沖縄の初期占領が基地の島沖縄としての本格占領に続く環境を整備するという米軍にとっての役割を果たした。しかし,地域住民と共に戦後復興を助けるという役割をも果たした彼らは,その人柄,考え方,沖縄への理解など,軍人的視点よりも文化人的視点をもち,初期占領下沖縄の指導者にとってアメリカの良心的存在であった。

言及状況

Twitter (2 users, 2 posts, 0 favorites)

こんな論文どうですか? 米海軍政府の軍政要員 : ハンナとワトキンス(与那覇 恵子),2016 https://t.co/sf1HC9lH32 米軍初期占領下の沖縄において,壊滅状態となった沖縄の政治経済,教育文化の復興に携わった米軍政府の米軍将校…

収集済み URL リスト