- 著者
-
白崎 護
Mamoru Shirasaki
- 出版者
- 関西外国語大学・関西外国語大学短期大学部
- 雑誌
- 研究論集 = Journal of Inquiry and Research (ISSN:03881067)
- 巻号頁・発行日
- no.113, pp.169-187, 2021-03
2019年参議院議員選挙の公示期間前後におけるパネル世論調査に基づき、インターネットの利用が政治意識の分極化を導く過程と程度を解明する。自民党の党派性に偏るインターネット環境と、自民党以外の党派性(中立も含む)を含むインターネット環境を比較した場合、前者の環境に置かれる効果は以下の通りである。政党に対する感情温度では、立憲民主党に対する世間の注目に隠れる形となった立憲国民党、そして地域政党の性格が強い維新の会について公示期間前後の変化を認めた。また政策をめぐる意識では、第 1 回調査において大半の回答者より選挙での主要争点と見なされなかった「外国人労働者の受け入れ」・「沖縄県普天間基地の県内移設」について公示期間前後の変化を認めた。つまり、公示日前は全国の有権者にとって関心や知識が薄いために形成途上にあった類の意識が、インターネットでの公示期間の報道や情報検索を経て有意に変化する。