著者
濱口 和久
出版者
拓殖大学地方政治行政研究所
雑誌
拓殖大学政治行政研究 = The journal of politics and administration (ISSN:24239232)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.15-27, 2021

病院船は昭和24(1949)年8月12日のジュネーブ条約(第22条)において,傷病者などを援助や治療,輸送することのみを目的とした船舶とされている。戦前は日本も病院船を保有していたが,戦後は1隻も保有していない。日本で病院船保有の議論が始まったのは,昭和61(1986)年11月に起きた伊豆大島三原山噴火のときで,戦争ではなく自然災害を念頭に置くという諸外国とは別の観点から始まった。その後も大規模災害(阪神・淡路大震災や東日本大震災)のたびに病院船導入の検討が行われてきたが,要員の確保,建造費と維持費,平時の活用法などがネックとなり建造は見送られてきた。本稿では,最初に,今までの国内における病院船導入議論の経過を説明する。そして,海外の病院船の運用事例を紹介し,日本における病院船の在り方について考える。

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