著者
山本 忠
出版者
名古屋女子大学
雑誌
名古屋女子大学紀要. 家政・自然編, 人文・社会編 (ISSN:21857962)
巻号頁・発行日
no.67, pp.133-145, 2021-03

昭和45年告示学習指導要領の高等学校数学ⅡBにおける「平面幾何の公理的構成」は、数学教育現代化の潮流の基に作成されたものである。数学教育現代化のねらいの一つは、現代数学の考え方を初等・中等教育に導入することであった。したがって、教科書や参考書は現代数学的な公理的構成を取り入れた。その結果、当時の実践記録によれば受容困難な場合が多くあった。たとえば「わかりきったことをなぜ証明しなくてはいけないのか」、「教科書と参考書では公理が異なっているので心配」など、生徒の反応は否定的なものが多かった。そこで、教科書、参考書の公理の異同、表現の異同、多様性、合同の公理の扱い方などの項目を設定して、当時使用された教科書、参考書の記述を数量化Ⅲ類の手法で分析した。結果は各教材によるばらつきは大きいことが裏付けられた。そして各教科書は比較的類似性があったものの、教科書と参考書の距離は遠いものがあり、当時指摘されていた生徒の不安も裏付けられた。

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