著者
高木 千恵 Takagi Chie タカギ チエ
出版者
大阪大学大学院文学研究科社会言語学研究室
雑誌
阪大社会言語学研究ノート
巻号頁・発行日
no.17, pp.39-51, 2021-03

本稿では、大阪方言の禁止形に現れる二つのアクセントを取り上げてそれぞれの用法を記述し、旧形式の意味の変容と有標化という観点から両者の使い分けについて考察した。本稿で明らかになったのは次の点である;(a)禁止形のアクセントには、後ろから2 拍目にアクセントの下がり目のあるタイプ(-2 型)と後ろから3 拍目に下がり目のあるタイプ(-3 型)がある。ただし低起無核型の2 拍動詞は-3 型を欠き、高起有核型の2 拍動詞(オル)は-2 型を欠く。(b)先行研究の記述に照らすと、-2 型が新しい終止形と、-3 型が古い終止形との共通点をもっている。(c)禁止形1(-2 型)が[指示][違反矯正][確認的指示][非難]の用法をもつのに対して、禁止形2(-3 型)は[指示][違反矯正][非難]の用法をもち、怒りやいらだちといった話し手のマイナス感情が併せて表示される。また禁止形2 には行為指示対象(聞き手)が必須である。(d)アクセントにおいて古い終止形と共通点をもつ禁止形2 のもつマイナス感情表示は、その他の項目にみられる新形式の誕生と旧形式の意味変容と軌を一にする変化である。

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