- 著者
-
渡部 昭男
- 出版者
- 大阪成蹊大学
- 雑誌
- 大阪成蹊大学紀要 (ISSN:21894744)
- 巻号頁・発行日
- no.7, pp.239-251, 2021-02-20
「教育無償化」論議の経緯と特徴について、これまで2016年第190回~2019年第200回の国会審議を追ってきた。第4報となる本報告では、第201回国会(2020.1.20-6.17) における審議を扱う。これまで同様に国会会識録検索システムを用いて「教育無償化」で簡易検索したヒット記事を通覧するとともに、「困窮学生」等の他用語検索を適宜追加した。会期前半では大学等修学支援法の施行に係る論議が、後半ではコロナ禍での家計急変への対応・困窮学生への緊急支援に係る論議が展開された。コロナ禍での学生の困難困窮が深刻化する中で、消費増税分の一部を財源として低所得層に留めた大学等修学支援法の枠組み設定自体が問われ、学生当事者の切実な声や意見の表明と署名運動が支援の規模と対象を広げる結果となった。閉会後の「「学びの継続」のための『学生支援緊急給付金』」(学びの継続給付金)の実施状況の検証、日緯比較研究のための韓国の国会審議の検討は、今後の課題である。