- 著者
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水原 俊博
- 出版者
- 地域ブランド研究会事務局
- 雑誌
- 地域ブランド研究 (ISSN:18812155)
- 巻号頁・発行日
- no.11, pp.15-26, 2016-03
本稿は多文化主義、とくに、文化の承認、シティズンシップの承認に対する人々の意識や態度がどれほどのもので、どのような社会的要因がそうした意識や態度に影響をあたえているのかについて、社会調査データを用いて検討することを目的とする。社会的要因については、ナショナリズム、外国人・外国文化接触経験を取り上げる。扱うデータは、2014 年に長野県松本市で実施した社会調査によって収集したものである。データ分析ではまず、尺度構成によって、多文化主義については文化の承認の前提となる「交流志向」、さらに、「シティズンシップ承認志向」の2因子、ナショナリズムについては「排外志向」「純化志向」「愛国志向」の3因子を抽出した。その上で、多文化主義尺度である「交流志向」「シティズンシップ承認志向」をそれぞれ従属変数とし、社会的属性(基本属性)、外国人・外国文化接触関連の変数、ナショナリズム尺度を独立変数とした重回帰分析をおこなった。以上の分析の結果、多文化主義の意識や態度は総じて低調で、多文化主義尺度のうち、「交流志向」「シティズンシップ承認志向」いずれに対しても、「排外志向」が負の影響をあたえる一方、外国人知人数、海外渡航経験が、「交流志向」に対して正の影響をあたえていることが明らかとなった。