著者
野尻 洋平 寺島 拓幸 水原 俊博
出版者
名古屋学院大学総合研究所
雑誌
名古屋学院大学論集 社会科学篇 = THE NAGOYA GAKUIN DAIGAKU RONSHU; Journal of Nagoya Gakuin University; SOCIAL SCIENCES (ISSN:03850048)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.59-77, 2019-07-31

本稿の目的は,アメリカ北西部に位置するオレゴン州ポートランド市における消費文化について,現地での観察調査およびインタビュー調査の知見をふまえつつ,消費社会学的な視点から考察を行なうことである。「全米一住みたい街」と形容されるポートランドは,都市計画・都市政策の成功した街,参加民主主義の成功事例として有名であり,さらには魅力的な消費文化の発信地として世界的に知られている都市である。本稿では,ポートランド消費文化を特徴づける要素として,エコ,ローカル,DIY 志向を取り上げ,それぞれについて考察を行なう。また,既存のポートランド消費文化が影響をこうむる可能性のある,いくつかの社会的な変化についても併せて指摘する。
著者
水原 俊博
出版者
地域ブランド研究会事務局
雑誌
地域ブランド研究 (ISSN:18812155)
巻号頁・発行日
no.10, pp.1-11, 2015-03-31

本稿は松本市の委託を受けて2014年に信州大学人文学部が実施した多文化共生調査の概要、日本国籍住民調査の結果を検討したものである。本稿ではまず、多文化共生を多文化主義、同化主義と関連させて概念整理する。その上で、松本市による多文化共生の理念、これまでの取り組みを紹介する。続いて、松本市による多文化推進プランの策定、見直しの基礎資料を目的に、信州大学人文学部が地域貢献のひとつとして受託しておこなった多文化共生調査の概要について紹介する。2010年、2014年に実施された本調査は日本国籍住民を対象とした大規模質問紙調査、外国籍住民を対象とした大規模質問紙調査・聴取調査の3つからなる。そして、本稿後半では、2104年調査のうち日本国籍住民調査の概要について説明し、調査結果の検討をおこなう。
著者
水原 俊博
出版者
地域ブランド研究会事務局
雑誌
地域ブランド研究 (ISSN:18812155)
巻号頁・発行日
no.11, pp.15-26, 2016-03

本稿は多文化主義、とくに、文化の承認、シティズンシップの承認に対する人々の意識や態度がどれほどのもので、どのような社会的要因がそうした意識や態度に影響をあたえているのかについて、社会調査データを用いて検討することを目的とする。社会的要因については、ナショナリズム、外国人・外国文化接触経験を取り上げる。扱うデータは、2014 年に長野県松本市で実施した社会調査によって収集したものである。データ分析ではまず、尺度構成によって、多文化主義については文化の承認の前提となる「交流志向」、さらに、「シティズンシップ承認志向」の2因子、ナショナリズムについては「排外志向」「純化志向」「愛国志向」の3因子を抽出した。その上で、多文化主義尺度である「交流志向」「シティズンシップ承認志向」をそれぞれ従属変数とし、社会的属性(基本属性)、外国人・外国文化接触関連の変数、ナショナリズム尺度を独立変数とした重回帰分析をおこなった。以上の分析の結果、多文化主義の意識や態度は総じて低調で、多文化主義尺度のうち、「交流志向」「シティズンシップ承認志向」いずれに対しても、「排外志向」が負の影響をあたえる一方、外国人知人数、海外渡航経験が、「交流志向」に対して正の影響をあたえていることが明らかとなった。
著者
間々田 孝夫 水原 俊博 寺島 拓幸 廣瀬 毅士 朝倉 真粧美 呉 金海 野尻 洋平 遠藤 智世
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究は東アジアを調査地域として、グローバル化する消費文化についてアメリカ型への画一化と非アメリカ的な多様化の実相を理論的、実証的に明らかにしようとするものである。2007~2008年度の期間、将来的な東アジアでの本格調査を見据えて東アジア地域の消費文化について文献の検討をとおした理論研究をおこなった。また、こうした理論研究をふまえて国内(首都圏)では大規模質問紙調査を実施して一定の成果をあげた。