著者
于 亜
出版者
大手前大学
雑誌
大手前大学論集 = Otemae Journal (ISSN:1882644X)
巻号頁・発行日
no.20, pp.1-17, 2021-03-31

中国東北地方の黒龍江省の大部分は、山東省、河北省、河南省などの華北農村からの移住者によって清代以降に開拓された。本研究では、主に1950~60年代における黒龍江省に移住した山東移住者の食文化についてその継承と変容に注目したい。中華人民共和国建国後、黒龍江省の本格的な開拓から70年が経過し、世代交代が進む中、出身県や母村への帰属意識は希薄になってきている。食文化からみると、母村の食習慣が維持されながらも、移住地の食習慣を取り入れていることがうかがえる。加えて、改革開放の1980年代以降の社会変動は、中国のそれまでの伝統的な食文化に大きな影響を与えた。現在、移住者世代および彼らの子孫の食生活にどのような変化がみられるのか、また彼らにとって伝統食はどのような存在であるのか、その地域に表出している食文化の要素を観察しながら、餃子を事例として、文化地理学的視点から黒龍江省に移住した山東移住者および彼らの子孫の食文化の継承と変容を明らかにすることが本稿の目的である。

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