著者
宇田川 拓雄
雑誌
嘉悦大学研究論集 = KAETSU UNIVERSITY RESEARCH REVIEW
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.43-59, 2021-10-28

日本の大学進学率は1950年代の10%台から増加し続け、2009年に50.2%に達した後は50%前後で安定している。大学は大衆化し、大学教育は質が問題となる時代となった。そこで、教育の質を示すと考えられる大学中退率が注目されている。学生が新しく見つけた進路に方向転換する場合の中退はポジティブな中退であるが、ほとんどの中退は学生本人、その家族、大学、社会にネガティブな影響をもたらすため、防止対策が必要である。中退率の高い大学は卒業できないリスクが大きいため、受験生にとって中退率は重要な情報である。しかし従来、中退率はほとんど公表されていなかった。2018年に中教審が中退率公表義務化を提言したが、読売新聞社はそれ以前の2008年から2018年まで毎年、全国調査を行い、中退率を含む結果を新聞に掲載し、『大学の実力』を出版してきた。本論文では2008年と2018年のデータを用いて10年間の中退率の変化をもとに、大学を「順調」「悪化」「改善」「低迷」の4つのタイプに分け、各大学の出欠管理やFD実施に関する自己評価の度合いとの関係を調べ、高い自己評価が必ずしも「順調」「改善」グループの大学に多いわけではないことを見いだした。

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