- 著者
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荒川 歩
原島 雅之
- 出版者
- Japan Society of Personality Psychology
- 雑誌
- パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
- 巻号頁・発行日
- vol.17, no.2, pp.194-207, 2009
刑事事件の判例文において「性格」という言葉がどのようなときにおいて用いられるのかについて探索的に検討した。裁判所ウェブサイト上の判例検索システムを用いて判例を抽出した。裁判年月日が平成8年1月1日から10年間の判例について,「性格」という言葉を含む刑事事件のみを対象とした。その結果182件が該当し,346のカードに分けられた。その内容をまとめると,被告人に関しては,「犯罪事実の認定や量刑判断には直接結び付けられていない経緯における記述」,「被告人の性格に基づく犯行理解」,「事件の背景としての被告人の性格」,「量刑判断の材料としての性格」の4つの側面で論じられており,それぞれで扱われる性格特徴も異なっていた。これらのことは,それが事実認定や量刑判断にどこまで影響しているかはわからないが,性格という概念が,事件を理解し,評価するうえで様々な側面で用いられていることを示すと考えられた。