著者
樋口 収 下田 俊介 小林 麻衣 原島 雅之
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.14-22, 2016 (Released:2016-10-06)
参考文献数
28
被引用文献数
5

東京電力福島第一原子力発電所の事故から5年以上たった今なお福島県の産物の風評被害は続いている。なぜ消費者は福島県の産物を危険視するのだろうか?2つの実験で行動免疫システムが活性化すると,汚染地域を過大に推定するかどうかを検討した。実験1では,プライミングの条件(病気の脅威条件vs.統制条件)に関係なく,慢性的に感染嫌悪傾向が高い人の方が低い人よりも,汚染地域を過大に推定していた。実験2では,感染嫌悪傾向が高い人では病気の脅威条件の方が統制条件よりも汚染地域を過大に推定していた。また感染嫌悪傾向が低い人では条件で差異はみられなかった。風評被害と行動免疫システムの関係について考察した。
著者
樋口 収 原島 雅之
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.185-192, 2012

The purpose of this study was to test the effect of construal level and achievement goal on predictions of how long it would take to complete an academic task. According to Construal Level Theory (Liberman & Trope, 2008; Trope & Liberman, 2010), when we predict the distant future (i.e., we construe the future in abstract features) , those predictions are based on abstract information. We hypothesized that participants who reported a stronger achievement goal predicted that they would spend a greater amount of time on the task when they construed the task abstractly. Two experiments tested the hypothesis. First, we assessed a participant's achievement goals. Then, we manipulated their construal level (e.g., the deadlines for submission of an essay: experiment 1), and asked them to estimate the amount of study time required. The results of the two experiments supported our hypothesis. The role of construal level on predictions is discussed.
著者
原島 雅之 小口 孝司
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.69-77, 2007 (Released:2008-01-10)
参考文献数
27
被引用文献数
1 2

従来,自尊心が高いことは望ましいこととされてきた。しかし自尊心が高いと,課題に失敗したときなどの自我脅威状況において,他者に攻撃的にふるまいやすいことが示されている(Baumeister, Smart, & Boden, 1996)。そこでJordan, Spencer, Zanna, Hoshino-Browne, & Correll(2003)は顕在的自尊心と共に,潜在的自尊心も合わせて考慮することによって,内集団ひいきなどのようなさまざまな防衛的な行動が明らかになると仮定した。結果,顕在的自尊心が高くかつ潜在的自尊心が低い人が,最も防衛的であることが示された。しかしながらそうした知見は,最小条件集団パラダイムによって実験的に作られた集団場面でのみ検討されたものである。そこで私たちの研究では,顕在的自尊心および潜在的自尊心が,現実に存在する集団に対しての内集団ひいきに及ぼす効果の検討を行なった。結果はJordan et al.(2003)と一致したものであった。しかしその効果は,場面によって異なることも示唆された。
著者
荒川 歩 原島 雅之
出版者
Japan Society of Personality Psychology
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.1-14, 2010

本研究では,ウェブログを対象として,そこで,「性格」という概念がどのような場合にどのように用いられているかを明らかにすることで,人にとって性格に言及することにどのような意味があるのかを明らかにすることを目的とした。合計24時間の間にアップされた714のウェブログから「性格」という言葉の用例を収集し,ボトムアップに分類した。その結果,他者の性格について言及したものは,17カテゴリ132個,自分の「性格」について言及したものは,26カテゴリ220個観察された。他者の性格については,先行研究において帰属の機能として指摘されていた解釈と予測という文脈に加えて,他者を一貫して,嫌なもの,または良いものとして主張するために,好きな–良い(または嫌な–悪い)性格といった感情的な評価の言及も認められた。他方,自己の性格については,統制不能なものとして理解され,他者にもそのように理解するように求める場合があることがうかがわれた。これらの結果から,パーソナリティ心理学ではあまり論じられていないが,一般の人の日常生活の会話においては重要な機能を果たす「性格」概念があることが明らかになった。
著者
荒川 歩 原島 雅之
出版者
Japan Society of Personality Psychology
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.194-207, 2009

刑事事件の判例文において「性格」という言葉がどのようなときにおいて用いられるのかについて探索的に検討した。裁判所ウェブサイト上の判例検索システムを用いて判例を抽出した。裁判年月日が平成8年1月1日から10年間の判例について,「性格」という言葉を含む刑事事件のみを対象とした。その結果182件が該当し,346のカードに分けられた。その内容をまとめると,被告人に関しては,「犯罪事実の認定や量刑判断には直接結び付けられていない経緯における記述」,「被告人の性格に基づく犯行理解」,「事件の背景としての被告人の性格」,「量刑判断の材料としての性格」の4つの側面で論じられており,それぞれで扱われる性格特徴も異なっていた。これらのことは,それが事実認定や量刑判断にどこまで影響しているかはわからないが,性格という概念が,事件を理解し,評価するうえで様々な側面で用いられていることを示すと考えられた。