著者
藤山 英樹
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.109-119, 2009

本稿では、温泉地域の中心的な組織である旅館に注目し、「地域の異質性および規模」と「地域公共活動」との関係について実証分析をした。「地域公共活動」については、より具体的には、「自治活動」、「旅館組合活動」および「祭り関連の活動」を取り上げた。<BR> 調査地域は、長野・山形・群馬・新潟の4県であり、対象は10軒以上の宿泊施設で構成されている旅館組合に加盟している全ての宿泊施設である。有効回答率は51.4%であった。<BR> 推定結果から、第1に地域の異質性は自治活動に負の相関があり、第2に地域の規模は組合活動に負の相関があることが示された。解釈は以下の通りである:自治活動といった目的がより漠然とした活動においては、地域の異質性に起因するコミュニケーションコストの高さが大きな影響を与える。他方、組合活動のような目的が決まっている活動では、コミュニケーションコストの効果は小さくなり、公共財としての性質が強くなり、より規模の大きい組織でより多くのフリーライドが生まれる。

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