- 著者
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新保 史生
- 出版者
- 国立研究開発法人 科学技術振興機構
- 雑誌
- 情報管理 (ISSN:00217298)
- 巻号頁・発行日
- vol.53, no.6, pp.295-310, 2010
- 被引用文献数
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本稿は,「ライフログ」の定義を試み,その取扱いにあたっての責任の在り方を提言するものである。人間の活動を記録した情報である「ライフログ」は,行動ターゲティング広告など商用目的で利用される機会が増えつつある。しかし,そもそもライフログとはどのような情報を意味するのかについては,漠然としたイメージでしかとらえられていない。また,ライフログを構成する個人識別情報と非個人識別情報の区別も困難である。そこで,両者を区別せずに「ライフログ」の範囲を明確にすることによって,その適正な取扱いにあたっての法的責任の範囲を明確にすることを試みる。技術的・制度的課題,個人情報の取扱いと法的義務,2010年5月に公開された総務省ライフログ研究会による配慮原則,米国の連邦取引委員会や業界団体による行動ターゲティング広告原則など,ライフログの取扱いに関わる検討課題および現在に至るまでの検討状況を概観した上で,過去の私生活の暴露や誤情報の取扱いをめぐる裁判例をもとに,ライフログの取扱いと法的責任について検討する。