- 著者
-
田中 桂子
- 出版者
- The Japan Lung Cancer Society
- 雑誌
- 肺癌 (ISSN:03869628)
- 巻号頁・発行日
- vol.51, no.2, pp.131-134, 2011
肺癌患者では,特に疼痛・呼吸困難など難治性の苦痛症状が生じやすく,緩和医療・緩和ケアの果たす役割は大きい.以下の5つのキーワードをもとに緩和医療の現状を概説する.(1)がんになったら緩和ケアも:緩和ケアとは,病気の進行度とは関係なく症状やニーズがあれば提供されるべきものである.(2)がん難民をなくすために:がん専門病院・一般病院,在宅,緩和ケア病棟のどこでも緩和ケアが受けられ,スムーズに選択でき行き来できるような地域のネットワーク作りが重要である.(3)「その人らしさ」を支えるために:終末期において大切なことは人により様々である.インフォームド・コンセントから一歩進んで,インフォームド・チョイスの提供が求められる.(4)緩和ケアを「広げる」・「深める」ために:緩和ケアの均てん化のための研修会やガイドラインの普及,専門化のためのシステム作りが進んでいる.(5)緩和ケアを「つなげる」ために:身体面・精神面・社会面・スピリチュアルな面を含むがん患者のトータルペインには,医師・看護師・薬剤師・栄養士・リハビリ職・心理職・ソーシャルワーカーなど,多職種合同チームによるアプローチが重要である.<br>