著者
宮本 元 西川 義正
出版者
Japanese Society of Animal Science
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.205-210, 1979

°C付近通過の冷却速度が,牛精液の過冷却の程度におよぼす影響,ならびにその過冷却の程度が,牛の凍結•融解精子の生存性におよぼす影響について検討し,つぎの知見をえた.1. 最終グリセリン濃度が7%(v/v)になるように,卵黄クエン酸ソーダ液で希釈した1mlの精液をビニール製ストローに注入し,0°C付近を毎分0.5~109.8°Cの速度で通過冷却すると,過冷却点(過冷却が破れて氷晶の成長が始まる温度)は-4.0~-13.8°Cの範囲にあった.1mlの精液をガラスアンプルに注入し,0°C付近を毎分0.6~21°Cの速度で通過冷却すると,過冷却点は-3.0~-9.2°Cの範囲にあった.2.過冷却が破れ凍結現象が始まった後の冷却速度が同じであれば,希釈精液の過冷却の程度は,-196°Cに凍結した後の牛精子の生存性に影響をおよぼさなかった.3. 希釈精液の過冷却が自然に破れても,植氷によって破れても,凍結•融解牛精子の生存性に差は見られなかった.

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