著者
入江 正和 大本 邦介 熊谷 重夫
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.6, pp.381-388, 1984
被引用文献数
1 1

豚の妊娠診断を,より簡単に,早期に,かつ的確に行なうために,小型軽量の人体用電子リニアスキャンを用いて超音波断層法(パルス法,Bモード)を実施した.超音波装置の探触子を無保定で起立している豚の下腹部に密着させて検査を行なったが,交配後18~21日で子宮内に胎嚢(Gestationa lSac, GS)の出現を確認することができ,これにより,あるいは,胎芽や胎児エコーの存在によって妊娠の有無を診断した結果,交配後22日以降では検査豚の99%について明確な診断を下すことができ,その適中率は100%であった.交配後25日まで平均GS径(y)は急激な増大を示し(1日約6mm),交配後の日数(x)と高い相関があり(r=0.89), y=6.97x-128.02なる回帰式が得られた.GSの形態は,発現時期では円形~楕円形のものが多かったが,以後不正形を呈するものが多くなった.GSの大きさは個体内でもさまざまであった.交配後25日頃には弱い胎芽エコーが確認できるようになり,妊娠診断も多数の大きなGSが存在するために容易であった.妊娠中期以降では,胎児の頭や体が明確に区別されるようになり,胎児の動きや胎児心臓の鼓動も観察でき,生死鑑別も可能であった.子宮内における胎児の向きや分布はさまざまであった.検査母豚における分娩頭数,妊娠期間等に異常はみられず,本法の安全性に問題はなかった.以上の成績から,超音波断層法は実用的ですぐれた豚の早期妊娠診断法であることがわかった.

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