著者
阿部 又信 入来 常徳 舟場 正幸
出版者
Japanese Society of Animal Science
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.60-65, 1992
被引用文献数
2

ホルスタイン種成雌牛延べ13頭を供試し,脂肪酸Ca塩(CSFA)の脂肪酸組成,粒度,ペレット加工,および給与量が酸分解エーテル抽出物(AEE)の消化率およびTDN含量に及ぼす影響について検討した.試験1,2ではいずれもパーム油を原料とし,約45%が2mm以上の大きさの不定形粒状CSFA(PFA-L)と,約85%が2mm以下の不定形粒状CSFA(PFA-S)のAEE消化率を求めた,いずれにおいても基礎飼料にCSFAを0または400g/日ずつ添加し,AEE消化率は400g給与時とOg給与時の糞中AEEの差をCSFA由来のAEE摂取量で除して求めた.その結果,PFA-LとPFA-SのAEE消化率はそれぞれ84.0および94.3%であった.同様にして,試験3ではPFA-Sを径5mmのペレットに加工した場合(PFA-SP)のAEE消化率を求めた結果,98.0%であった.試験4では,約39%が2mm以上の不定形粒状で牛脂を原料とするCSFA(TFA-L)を200または400g/日給与した場合のAEE消化率を求めた結果,それぞれ76.7および66.1%であった.供試CSFAのAEE含量と400g給与時の消化率からそれぞれのTDN含量を求めると,PFA-L;158,PFA-S;178,PFA-SP;179,TFA-L;126%となり,CSFAの粒度と脂肪酸組成はTDN含量に影響するが,ペレット加工しても負の影響はないことが示唆された.また,給与量も影響を及ぼしうるが,パーム油を原料とするCSFAの場合にはその影響は小さいと考えられた.

言及状況

外部データベース (DOI)

Twitter (1 users, 1 posts, 0 favorites)

収集済み URL リスト