著者
赤川 正臣
出版者
公益社団法人 日本雪氷学会
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.1-6, 1977
被引用文献数
2

オホーツク海西部の海氷季節初期における結氷域の生成・拡大,流氷群南下には低温・低塩分水から成る東樺太海流の役割が重要とされている.この東樺太海流は主としてアムール川の陸水によってかん養され, またアムール川流量は主として夏季モンスーンによる降水量が補給源とされている.したがって, 因果的にはアムール川流域の夏季雨量と海氷季節初期の海氷現象との間に, 相関関係が期待されるかも知れない.<BR>このような考えから,雨量としてブラゴベシチェンスクとニコライエフスクの地点雨量, 海氷現象として樺太東岸の一年氷出現日,エリザベト岬の結氷初日および北海道紋別沿岸の海水比重急落日を選び,それらの相関を評価してみた.しかし,有意な相関関係はほとんど得られなかった.これはアムール川流量を地点雨量で代表させるのに問題があり, また東樺太海流の消長や海氷現象は気温や風などの気象条件が大きく利いているためである.

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