著者
川上 繁 五十嵐 幸雄
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.45-60, 1943

1. 梅と杏に關して, 主として低温障害の見地より花粉の發芽試驗を行つた。<br>2. 開花期の早い梅性梅の中には白加賀、甲州最小の如く暖地に比して, 低温地方にて發芽率の不良なる品種あり, 其の原因は低温, 降水等に基く事が尠らずと認めた。<br>3. 花粉の發芽適温は15°C付近にあり。0°Cにては全然發芽せず, 1.5~3にて發芽可能であつた。<br>4. 花蕾の發育程度に依る花粉の發芽率の差異は, 天候良好なる場合には開花日より2日過位まで良好にして, 4日過に至れば極めて不良となつた。<br>5. 蕋咲花, 雌蕋不完全花, 花柱變色花等の外見上に認められる障害の原因の一部は低温に基くものと認められるが, 露地に於ける此の如花蕾の花粉は發芽成績が必ずしも不良でなかつた。<br>6. 枝條, 花蕾, 及び花粉を人工的に低温處理して障害状態を觀察し, 花粉の發芽試驗を行つた。其の結果は成熟せる花粉は耐寒性強く, 開葯前の花粉は耐寒性が極めて弱き事を認めた。<br>7. 著しき低温を伴はざる場合にても降水後の露地の花蕾は花粉の發芽極めて不良であつた。<br>8. 人工にて低温處理せる成熟花粉は人工交配にて高い結實歩合を示した。

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