著者
松本 和浩 李 忠峴 千 種弼 金 泰日 田村 文男 田辺 賢二 黄 龍洙
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.293-297, 2008 (Released:2008-04-25)
参考文献数
10
被引用文献数
3 3

韓国産イチゴ品種‘Mae-hyang’,‘Seol-hyang’および‘Keum-hyang’と‘章姫’を4℃または20℃で4日間貯蔵し,果肉硬度,可溶性固形物濃度,滴定酸度,アントシアニン濃度および糖組成の品種間差異を調査した.各品種の糖組成をみると‘Mae-hyang’および‘Keum-hyang’はスクロースが,‘Seol-hyang’および‘章姫’はフルクトースとグルコースが主体であった.また糖蓄積型ごとに各貯蔵温度における糖組成の変化が異なることが明らかになった.低温貯蔵によりいずれの品種も果肉硬度が上昇したが,特に‘Mae-hyang’において顕著であった.また,‘Mae-hyang’は貯蔵温度にかかわらず酸含量および糖酸比の変化が少なく,20℃貯蔵区における総可溶性糖含量の低下も他品種比べ少なく,安定した貯蔵品質を示した.一方,‘Seol-hyang’は他品種に比べ20℃貯蔵区において酸含量の上昇と糖酸比の低下が起こりやすかった.また,‘Keum-hyang’はいずれの貯蔵区でもアントシアニン濃度が高く,4℃貯蔵区でも糖含量の低下がみられた.これらの結果より,‘Mae-hyang’が他の韓国産新品種に比べ貯蔵中の硬度と品質を保ちやすい長期貯蔵に適した品種であると認められた.
著者
岡 一郎 末 紀夫 高橋 久幸
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.149-154, 2004 (Released:2008-03-15)
参考文献数
15
被引用文献数
1 2

トマトの毛管式水耕栽培において,標準培養液に人工海水塩を添加して,塩類処理が果実の糖度と重量に及ぼす影響を調査した. 3段摘心栽培では,培養液のECが高く推移した区ほど糖度は高く,糖度と果実重量には負の相関が認められた.標準液に2000 ppmの塩類を添加した培養液で栽培を始め,第3花房開花期から標準液補給に変えて培養液のECを低下させた区では,目標に近いBrix 8.5~9.7の糖度が確保でき,全期間塩類を添加処理した区に比べて,果実重量の低下もやや抑えることができた. 8段摘心栽培では,培養液の窒素濃度を高め,さらに塩類を加えてEC 6 dS・m−1で栽培した区で第1果房からほぼ目標糖度に達し,塩類のみでECを高めた処理区に比べて,上段果房での果実重量の低下も避けることができた.
著者
佐藤 守 阿部 和博 菊永 英寿 高田 大輔 田野井 慶太朗 大槻 勤 村松 康行
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
The Horticulture Journal (ISSN:21890102)
巻号頁・発行日
vol.84, no.4, pp.295-304, 2015 (Released:2015-10-22)
参考文献数
17
被引用文献数
3 11

モモ[Prunus persica(L.)Batsch]とカキ(Diospyros kaki Thunb.)を供試し,福島第一原子力発電所事故の放射性降下物により休眠期汚染された落葉果樹に対する高圧洗浄機を用いた樹皮洗浄による放射性セシウムの除染効果を検証した.夏季洗浄処理として 18 年生モモ‘あかつき’を供試し,2011 年 7 月 5 日と 27 日の 2 回にわたり,樹皮洗浄処理を実施した.休眠期洗浄処理として 2011 年 12 月 21 日に 30 年生カキ‘蜂屋’,2012 年 1 月 24 日に 7 年生モモ‘川中島白桃’を供試し,樹皮洗浄処理を加えた.高圧洗浄処理によりカキではほぼ全ての粗皮がはく離したが,モモの表皮はほとんどはく離しなかった.2011 年夏季に洗浄処理されたモモ‘あかつき’の果実中 137Cs 濃度は洗浄による有意差は認められなかった.2011 年から 2012 年の冬季に洗浄処理されたモモ‘川中島白桃’の葉および果実中 137Cs 濃度は洗浄により有意に減少した.同様にカキ‘蜂屋’でも洗浄処理翌年の葉および果実中 137Cs 濃度は洗浄により有意に減少した.これらの対照的な結果と矛盾しない現象として,汚染された樹皮洗浄液による二次汚染および樹皮からの追加的汚染の可能性について考察を加えた.
著者
小笠原 悠 市村 一雄 福永 哲也 永田 晶彦 井上 守
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.577-583, 2012 (Released:2012-12-28)
参考文献数
26

日本国内の生花店では,水揚げの促進を目的として‘水切り’作業を行っているが,切り花を取り扱う際の大きな負担になっている.実際に水切りを行っている生花店の割合とその効果に関するアンケート調査を行ったところ,62%の生花店で水切りは行われており,72%の生花店では水切りに品質保持の効果があると考えていた.次に,キク,バラ,ユリ,トルコギキョウ,ガーベラ,ストックおよびアルストロメリアを乾燥により水分を損失させた後,生体重の回復と品質保持期間に及ぼす水切り処理の影響を調べた.その結果,水切りによりキクとガーベラ切り花のみは生体重の回復が促進された.しかし,他の品目では有意に促進される効果はなかった.また,どの品目においても,水切りにより品質保持期間が長くはならなかった.以上の結果から,‘水切り’が切り花の水揚げと品質保持に及ぼす効果は極めて限定的であることが明らかになった.
著者
Md. Fuad Mondal Md. Asaduzzaman Makoto Ueno Mikiko Kawaguchi Shozo Yano Takuya Ban Hideyuki Tanaka Toshiki Asao
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
The Horticulture Journal (ISSN:21890102)
巻号頁・発行日
pp.MI-113, (Released:2016-04-23)
被引用文献数
4

The consumption of vegetables and fruits rich in potassium (K), such as melons and strawberries, is restricted in chronic kidney disease (CKD) patients. Therefore, we attempted to produce low-K strawberry fruits through management of a KNO3 fertilizer in nutrient solution from anthesis to the harvest period. A general trend of decreasing K content in fruit was observed with the decrease of KNO3 concentration in the nutrient solution. Among four strawberry cultivars, the fruit of the ‘Toyonoka’ exhibited a K reduction of about 64% when plants were grown in nutrient solution with KNO3 at 1/16 of the normal level. Citric acid and ascorbic acid contents of ‘Toyonoka’ fruit were reduced with decreasing KNO3 concentrations in the nutrient solution. Although the reduced NO3− of the nutrient solution was adjusted by using Ca(NO3)2 to obtain low-K strawberries, growth, yield and quality did not vary with this adjustment. Compared with the typical level of K in strawberry fruit of 170 mg/100 g FW (Standard Tables of Food Composition in Japan, 2011), a 23.5% decrease (130 mg/100 g FW) in K was found in 1/32 level of KNO3. The K contents of plant parts suggested that the low KNO3 level was responsible for the low K absorption, which may have affected the translocation and accumulation of K into fruit. Therefore, 1/32 level of KNO3 in nutrient solution lowers the fruit K content considerably.
著者
小原 香 坂本 由佳里 長谷川 治美 河塚 寛 坂本 宏司 早田 保義
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.75, no.3, pp.267-269, 2006 (Released:2006-05-22)
参考文献数
8
被引用文献数
5 10

香草のコリアンダー (Coriandrum sativum L.) の異なる成長期における器官別香気成分の変動を検討した.コリアンダーの幼苗期の葉部と茎部のにおいは極めて類似しており,高いパターン類似率を示した.しかしながら,幼苗期の葉茎部と成熟期の葉茎部のパターン類似率は低下し,さらに,幼苗期から成熟期へと成長が進むに従い,葉と茎部の香気は異なるようになり,そのパターン類似率も著しく低下した.また,果実と他の器官におけるパターン類似率の低下は顕著であった.茎葉部の主要香気成分は,油っぽい,甘い,草様の香りを有する decanal, (E)-2-decenal, (E)-2-undecenal, 2-dodecenal, (E)-2-tetradecenal の 5 成分であり,種子にはほとんど含まれていなかった.また,種子の特徴的香気成分は,花様の爽やかな香りを有する linalool や α-pinene, γ-terpinene, D-camphor, geraniol の 5 成分であり,茎葉部にはほとんど含まれていなかった.茎葉部では,成長が進むに従い,heptanal, (E)-2-hexenal や octanal の様な青いフレッシュな香気が減少する傾向があり,生茎葉を香草として使用する場合は,コリアンダー特有の青臭い香りだけでなく,フレッシュな香気を併せ持つ幼苗期の茎葉部が適していると判断された.
著者
草塲 新之助 松岡 かおり 阿部 和博 味戸 裕幸 安部 充 佐久間 宣昭 斎藤 祐一 志村 浩雄 木方 展治 平岡 潔志
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
The Horticulture Journal (ISSN:21890102)
巻号頁・発行日
vol.85, no.1, pp.30-36, 2016 (Released:2016-01-23)
参考文献数
12

東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所事故により放出され樹園地に降下した放射性セシウムについて,リンゴ園における地表面管理の違いが土壌および果実における放射性セシウムの蓄積に与える影響を,福島県において 2011 年から 4 年間にわたり調査した.地表面管理は,清耕区,中耕区,中耕+堆肥施用区,草生区,ゼオライト散布区とした.土壌の放射性セシウム濃度は上層ほど高く,表層土(0~5 cm)では,有意差は認められないものの草生区のみが 2011 年と比較して 2014 年に濃度が上昇した.中層土(5~15 cm)では,中耕を伴う処理区の濃度が他の処理区よりも高くなった.樹冠下地表面の雑草,落ち葉等の有機物に含まれる単位面積あたりの放射性セシウム量は草生区で最も高く,中耕を伴う処理区で低かった.果実の放射性セシウム濃度は,いずれの処理区においても 4 年間にわたり指数関数的に減少した.また,果実の濃度に堆肥施用の影響は認められなかった.果実と土壌の放射性セシウム濃度が連動していないことから,試験地に降下した放射性セシウムのレベルでは,少なくとも事故発生後 4 年間は,中耕,草生管理,堆肥施用などの地表面管理は,リンゴ果実の放射性セシウム濃度に影響を与えないことが示唆された.
著者
Kyoko Yamane Yasuaki Sugiyama Yuan-Xue Lu Na Lű Kenichi Tanno Eri Kimura Hirofumi Yamaguchi
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
The Horticulture Journal (ISSN:21890102)
巻号頁・発行日
pp.MI-065, (Released:2015-07-30)
被引用文献数
2

This paper reports the level of genetic differentiation between two Japanese and one Chinese species of Eutrema: E. japonicum, “wasabi”; its wild relative in Japan, E. tenue; and their wild relative in China, E. yunnanense. Phylogenetic analyses were based on the DNA sequence of the chloroplast trnK/matK region of 16 Brassicaceae and an outgroup species. Neighbor joining (NJ) and maximum parsimony (MP) trees were constructed, revealing that the three Eutrema species form a single clade clearly separated from other Brassicaceae species. The two Japanese Eutrema species are highly differentiated from Chinese E. yunnanense, and it is estimated that they diverged from E. yunnanense approximately 5 million years ago. An ethnobotanical survey was conducted among ethnic Chinese in Yunnan Province, and the results indicate that E. yunnanense is not perceived as “hot” in taste, while a pungent flavor is associated with wasabi; in addition, no evidence was found for the domestication of E. yunnanense. On the basis of the present molecular phylogenetic study and the ethnobotanical survey, we conclude that wasabi acquired its specific pungent flavor during its long botanical history in Japan, and that its subsequent domestication in Japan was because of this acquired pungent flavor. The culinary habit of using wasabi with raw fish has since become an important feature of Japanese cuisine and culture.
著者
佐藤 守 竹澤 邦夫
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.193-201, 2014 (Released:2014-09-30)
参考文献数
26

気象要因による生育予測法により四倍体無核ブドウ‘あづましずく’の発育特性について検討した.発芽期から着色開始期までは日平均気温で予測モデルに係らず実用的な予測が可能であった.発芽については,‘あづましずく’は‘巨峰’よりも自発休眠覚醒に要する低温要求量が少ないものと推察された.開花期は展葉期よりも発芽期を起算日とした場合が,年による予測誤差が少なかった.有効積算温度法の発育零点は開花期までは0°C,着色開始期では5°Cで予測精度が高かった.
著者
越智 靖文 伊東 正
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.37-42, 2012 (Released:2012-02-28)
参考文献数
20

果実内発芽と内生アブシジン酸含量の関係を明らかにするために,果実内発芽し難い系統と果実内発芽し易い系統の2供試材料を,硝酸態窒素濃度の異なる3種の培養液(6.5,13,および26 me・L−1)で栽培した.その結果,果実内発芽し易い系統において,果実内発芽は,最も高い窒素濃度(26 me・L−1)で栽培されたときに増加した.しかし,果実内発芽し難い系統では,すべての窒素濃度下で,果実内発芽が認められなかった.両系統において,窒素濃度が高くなるほど胎座部周辺の果汁中のABA含量が減少した.また,果実内発芽し易い系統よりも果実内発芽し難い系統の方が,胎座部周辺果汁中のABA含量が高かった.以上の結果から,硝酸態窒素施肥量の増加により,胎座部周辺果汁中のABA含量が減少し,その結果として果実内発芽が増加すると考えられた.また,果実内発芽し易い系統では,果汁中のABA含量が低いと推察された.
著者
Fraidoon Karimi Moeko Igata Takashi Baba Satoshi Noma Daiki Mizuta Jin Gook Kim Takuya Ban
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
The Horticulture Journal (ISSN:21890102)
巻号頁・発行日
pp.MI-158, (Released:2016-11-02)
被引用文献数
2

Pruning is a recommended cultural practice in blueberries (Vaccinium spp.) to maintain the balance between vegetative growth and reproductive development. Winter pruning is common and well-documented practice. Summer pruning, however, has been less studied. In this study, 5 primaryshoots (PSs) were selected per treatment (pruning date) on 5 different bushes (replications) of the rabbiteye blueberry (Vaccinium virgatum Ait.) ‘Tifblue’ and half-length headed back during its active growth period from June through Nov. The hypothesis tested in this study was that summer pruning induces flower buds at the basal area of PSs, controls the plant canopy and makes it possible to harvest fruits in the next summer season from the same shoots. In this study, there were no significant differences observed among any treatments with respect to yield and fruit quality. Early summer pruning (June) stimulated secondaryshoots (SSs) and later in autumn, terminal flower buds of these SSs produced fruits in the following year. However, no SSs were produced after summer pruning in Sept., and only vegetative buds that were at the basal area of PSs differentiated to flower buds and produced fruits in the following year. In conclusion, summer pruning can be practiced to complement or replace winter pruning and growers could decide the date of summer pruning in accordance with the size of plants’ canopies. Plants with smaller canopies can be pruned in June and those with bigger canopies can be pruned in Sept.
著者
Hyun Jin Kim Jongyun Kim Do Lee Yun Ki Sun Kim Yoon Jin Kim
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
The Horticulture Journal (ISSN:21890102)
巻号頁・発行日
pp.MI-133, (Released:2016-03-31)
被引用文献数
1

To assess the growth and flowering of the Doritaenopsis orchid in alternative substrates, Doritaenopsis Queen Beer ‘Mantefon’ was grown for 15 months in four different substrates; a commercial 100% Chilean sphagnum moss (S), peat moss (P), medium-grade Douglas fir bark mixed with P with a 3:7 ratio (v/v) (BP), and S and P mixes (SP) with a 4:6 ratio (v/v). Physical (porosity and water holding capacity) and chemical (pH and EC) properties of the four substrates were investigated. SP substrate had significantly higher substrate volumetric water content (VWC) than the other three substrates only for the first 3 days after fertigation, and only the BP substrate maintained lower air space than the other substrates. Although there was no relevant growth responses to VWC and air space changes, a better growth in shoots and fastened flowering of Doritaenopsis ‘Mantefon’ occurred in plants grown in the P substrate, which could be attributed to providing better contact of terrestrial roots to the substrate enabling enough water and nutrient supply, along with a proper pH range of 6.15. At 15 months after transplanting, plants grown in the P and BP substrates had larger leaves and a greater shoot dry weight than the plants grown in the S and SP substrates. Plants grown in the P substrate produced 2.75 flower spikes, whereas the plants grown in the S, BP, and SP substrates produced 2.00 to 2.33 flower spikes. Plants grown in the P, BP, S, and SP substrates produced a third flower spike, being 67%, 33%, 17%, and 8%, respectively. There was no significant difference in the total number of flowers, while the total numbers of buds were 32.3, 23.4, 23.0, and 19.7 in plants grown in the P, S, BP, and SP substrates, respectively. Time to visible flower spike was shortened in plants grown in the P substrate compared to the plants grown in other substrates. With these results, using alternative substrates including peat moss for Doritaenopsis cultivation, growers may be able to promote leaf growth and flower spike induction with lower expenses on substrate costs, resulting in a high quality production of Doritaenopsis ‘Mantefon’ with more profit.
著者
Atsuko Uragami Reiichirou Ueno Atsushi Yamasaki Kentaro Matsuo Takayuki Yamaguchi Hideo Tokiwa Tamio Takizawa Hiroaki Sakai Takao Ikeuchi Shin-ichi Watanabe Kuninori Matsunaga Miyuki Kunihisa Hiroaki Kitazawa Satoru Motoki
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
The Horticulture Journal (ISSN:21890102)
巻号頁・発行日
pp.MI-115, (Released:2016-03-30)
被引用文献数
6

This study analyzes the first large-scale asparagus experiment in Japan to examine the productive differences between male and female plants using the rootstock-planting forcing culture technique. This technique has recently been developed in Japan and uses dug-up rootstocks for one-season harvests during the off-crop season. As larger spears and early sprouting are especially favored in this culture for higher yield, it is important to clarify and evaluate the productive traits of the male and female plants. We conducted collaborative research among eight institutes from Hokkaido to Kyushu to examine plants grown at different cultivation sites. There were two digging-up months and different low-temperature backgrounds. Plant rootstocks sourced from the eight different sites used in the experiment were cultured in an abandoned tunnel in Nagano Prefecture, Japan, in a large area with uniform temperature and high humidity throughout the year, and their white spears were harvested. The results of this study show that the female plants had a significantly higher rootstock weight, weight per spear per plant, and weight per early spear per plant, whereas the male plants had a significantly higher total spear number per plant, early spear number per plant, and significantly fewer days to first harvest. No significant differences were observed in soluble solid contents of roots, total spear weight per plant, or early spear weight per plant. It seems that male plants have a tendency to sprout earlier than female plants in response to reduced accumulated low temperature hours, and also to produce a higher total spear number per rootstock weight and total spear weight per rootstock weight. The ranges of most of the productive traits analyzed in this study completely overlapped between the sexes. However, female plants showed higher variation in weight per spear per plant and weight per early spear per plant.
著者
桜井 直樹 岩谷 真一郎 寺崎 章二 山本 良一
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.31-35, 2005 (Released:2005-11-11)
参考文献数
13
被引用文献数
17 32

キュウリ3品種の肉質 (シャキシャキ感) を音響的に測定した. ガラスシリンジのピストンと先端を尖らせたプローブの間にピエゾ圧電素子をはさみ, シリンジに水をポンプで送り込みながら, プローブを毎分35 mmの速度でキュウリに挿入し, プローブが受信した音響的振動をピエゾ素子で直接検出し10000 Hzまでの信号を測定した. 振動信号は高速フーリエ変換し, 振動強度の周波数スペクトルを得た. 1~6 kHzの間の振動強度に, 品種間, 部位別の違いがもっともよく現れた. そこで, 高周波成分の振動強度を強調し, 全ての周波数成分を積分した値を計算し, シャキシャキ感を示す新しい指標“シャープネス”を提案した. シャキシャキ感を示す“シャープネス”が農産物の食感をどれくらい定量的に評価できるかについて議論した.
著者
門田 有希 田原 誠
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
The Horticulture Journal (ISSN:21890102)
巻号頁・発行日
vol.84, no.4, pp.283-294, 2015 (Released:2015-10-22)
参考文献数
100
被引用文献数
4

トランスポゾンは真核生物のゲノム中に存在する可動性因子である.その構造および転移機構により二種類(class I;レトロトランスポゾン,class II;DNA 型トランスポゾン)に分けられる.トランスポゾンは真核生物ゲノムの主要な構成要素であり,特にレトロトランスポゾンは植物ゲノムの大部分を占める.多数のレトロトランスポゾン挿入配列はゲノム全体に散在しており,また安定して遺伝する.そのため,農作物品種間における挿入多型は DNA マーカーとして利用されている.最近,私たちは次世代シーケンス(NGS)技術を利用することにより,品種間で高い挿入多型を示す LTR 型レトロトランスポゾンファミリーを効率的に同定する手法を確立した.この手法は,5'LTR 配列に近接し,異なる LTR 型レトロトランスポゾンファミリー間でも保存性の高い PBS(Primer Binding Site)配列に注目している.この PBS 配列を利用した NGS ライブラリーの構築により,ゲノム中に存在する多数の LTR 配列およびそれら挿入配列を同定した.これら配列を用いたデータ解析により,近縁品種間でも高い挿入多型を示す LTR 配列を抽出した.また,NGS を利用することで,これらレトロトランスポゾンファミリーのゲノムワイドな挿入箇所を多数の品種に関して同定した.これら挿入箇所の情報は,品種間の類縁関係の解明および品種判定用 DNA マーカーの開発に有用であった.私たちの研究結果は,これらレトロトランスポゾン挿入部位のターゲットシーケンスにより,全ゲノム配列情報が無い生物種においても,効率的に遺伝子型解析およびマーカー開発が可能であることを示した.本記事では,トランスポゾンのゲノム構造および進化的側面に関して解説,またレトロトランスポゾンの挿入多型に基づいたマーカー開発に関しても紹介する.
著者
荒川 浩二郎 南 峰夫 中村 浩蔵 松島 憲一 根本 和洋
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.13-17, 2009 (Released:2009-01-25)
参考文献数
26
被引用文献数
2 3

レタスに含まれる機能性成分であるセスキテルペンラクトン類(SLs)高含量品種の開発において,的確にSLs含量を評価し,選抜するための分析用試料採取方法の確立を目的として,レタス3品種を供試して,部位および生育ステージによるSLs含量の差異をHPLCを用いて調査した.外葉,結球葉(外),(内),芯の4部位間でSLs含量に有意な差が認められた.SLs含量の部位間の相関関係を見ると,外葉と収穫対象である結球部全体の間で有意ではないが高い相関係数が得られた.外葉は採取しても抽苔開花に影響せず,種子を得られることから,分析用試料として利用できると考えられた.結球開始期,収穫適期,過熟期における結球部のSLs含量は,生育ステージが進むほど有意に増加した.結球開始期から有意な品種間差が認められ,収穫適期の含量と有意な相関関係が認められたことから,結球開始期の試料による早期検定が可能と考えられた.
著者
藤島 宏之 松田 和也 牛島 孝策 矢羽田 第二郎 白石 美樹夫 千々和 浩幸
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.405-410, 2012 (Released:2012-09-30)
参考文献数
19
被引用文献数
2 2

同一着果条件下において,ブドウ‘巨峰’のジベレリン処理果実(無核果実)とジベレリン無処理果実(有核果実)の品質の差異について調査した.無核果実は着色開始が早いものの,その後の着色の進行や糖度の上昇程度,酸含量の減少程度は,有核果実の方が優れる傾向にあった.収穫期では,果皮色は年次により変動したが,糖度は無核果実で低かった.同一新梢内では,無核果実で果粒重が軽くなり果皮色や糖度が低下した.同一花穂内では,無核果実で果皮色が劣った.有核,無核にかかわらず,果皮色,糖度とも果房重が重いほど低下し,特に無核果実では糖度の低下が顕著であった.
著者
神崎 真哉 井上 紘一 宇都宮 直樹 矢野 正善
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.1-7, 2013 (Released:2013-04-01)
参考文献数
20
被引用文献数
4

本研究では7種類のモミジSSRマーカーを開発し,それらを用いてモミジ園芸品種107品種の多様性解析を行った.全部で87個の対立遺伝子が検出され,遺伝子座当たりの対立遺伝子数は4~25個,平均12.43個となった.ほとんどの品種で独自のSSRプロファイルを持っており,品種識別マーカーとしての有効性が確認された.7遺伝子座すべてで同一のプロファイルを示したグループもいくつかあったが,それらは枝変わりや異名同種であると考えられた.主成分分析の結果,供試した107品種はイロハモミジ系品種群(Palmatumグループ)とオオモミジ・ヤマモミジ系品種群(Amoenumグループ)の2つのグループに分けられた.AMOVAによりこれらのグループ間の変異は有意であることが示された.また,園芸品種においては,オオモミジ系品種群とヤマモミジ系品種群を明確に区別することはできないことが示された.以上の結果より,イロハモミジ系品種の多くはオオモミジ・ヤマモミジ系品種とは離れて独自に発達してきたのに対し,モミジ園芸品種においてはA. amoenumの2つの変種を遺伝的に区別することはできないことが示された.
著者
大久保 直美 鈴木 一典 近藤 雅俊 谷川 奈津 中山 真義 柴田 道夫
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.183-187, 2007 (Released:2007-04-23)
参考文献数
15

沖縄産ヒメサザンカ野生種13系統,芳香性ツバキの花粉親の一つであるヒメサザンカの系統1118(海外経由系統),芳香性ツバキ4品種の香気成分の比較を行った.ヒメサザンカの香気成分について,新たにリモネンおよび6種の芳香族化合物,安息香酸ベンジル,オイゲノール,サリチル酸メチル,o-アニス酸メチル,フェニルアセトアルデヒド,ベンズアルデヒドを同定した.沖縄産野生種13系統の香気成分量は,ほとんどのものが海外経由系統より多く,特に系統3と36が多かった.この二つを比較すると,花様の香調の2-フェニルエタノールやフェニルアセトアルデヒドの割合が多い系統36の香りの方が強く感じられた.ヒメサザンカを花粉親とする芳香性ツバキ‘姫の香’,‘港の曙’,‘春風’,‘フレグラントピンク’の香気成分の組成もヒメサザンカとほぼ同じであったが,組成比は品種ごとに大きく異なり,花様の香調を持つ成分の割合の多い‘姫の香’,‘港の曙’で香りが強く感じられた.