著者
中村 三七郎
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.305-317, 1935
被引用文献数
1 3

(1) 本實驗に於て根端の採取は3月11日に着手し, 10月21日迄2週間毎に17囘行へり。新梢伸長測定は5月3日に開始し, 10月18日迄1週間毎に行へり。<br>(2) 夏橙の根群の活動は4月上旬に初まり, 5月上旬より7月下旬迄最も旺盛にして, 8月に至れば殆ど衰へ, 9月下旬より10月にかけて再び活動す。概して雨期に盛んなり。新梢は5月中下旬に伸長し, 以後伸長を止め, 8月下旬より9月下旬にかけて秋芽伸長す。<br>(3) 柿はやゝ遲れて5月下旬に至り根群活動を始め, 10月下旬には甚だ衰へたり。梅雨期に盛んにして8月に衰へ, 9月下旬やゝ旺となる。新梢は5月中旬, 7月下旬及び9月上旬を中心として2-3週間伸長し, 伸長速度も5月7月, 9月の順に盛んなり。<br>(4) 枇杷の根群は3月11日には既に活動状態に入り, 10月下旬迄も活動を續く。7月上旬最盛にして, 8月に至り衰ふ。新梢は5月中旬, 7月中旬, 8月下旬より9月上旬にかけ, 各2-3週間伸長し, 5月に於て伸長速度最大なれど, 概して絶えず伸長するものの如し。<br>(5) 梨の根群は5月上旬活動期に入り, 8月上旬迄繼續す, 新梢は7月上旬迄に全伸長の殆ど總てを終る。<br>(6) 以上の結果より考察するに各果樹の根群は梅雨期及び其前後に於て活動盛んなれども, 新梢は一般に雨期に於て伸長緩慢にして, 梨は梅雨初期に於ては伸長盛んなれども終期に近付くに從ひ伸長緩やかとなる。<br>(7) 根群の活動期と新梢伸長期は明かに交互となる。

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