- 著者
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山木 昭平
森口 卓哉
- 出版者
- 園藝學會
- 雑誌
- 園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
- 巻号頁・発行日
- vol.57, no.4, pp.602-607, 1989
- 被引用文献数
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ニホンナシ果実の糖の蓄積に重要な働きをするNAD<sup>+</sup>依存性ソルビトール脱水素酵素, ソルビトール酸化酵素, ソルビトール-6-P脱水素酵素, NADP<sup>+</sup>依存性ソルビトール脱水素酵素そしてインベルターゼ活性の季節変動と糖の蓄積との関係を検討した. ソルビトールをフルクトースに変換するNAD<sup>+</sup>依存性ソルビトール脱水素酵素がソルビトール関連酵素のなかで, 果実の生長, 成熟過程をとおして最も高い活性を示した. その活性は6月に上昇し, 果実の肥大に伴って減少し, 果実の成熟とともに再び増加した. この活性変動は未熟果でのフルクトースの蓄積に密接な関連を示し, この酵素はニホンナシ果実の糖の蓄積にたいして重要な役割を果していることが示唆された. ソルビトールをグルコースに変換するソルビトール酸化酵素はNDA<sup>+</sup>依存性ソルビトール脱水素酵素の約10分の1の活性を持ち, 幼果において高い活性を示し, 果実の肥大とともに減少し, その成熟に伴って再び増加した. しかしながらソルビトール-6-P脱水素酵素, NADP<sup>+</sup>ソルビトール脱水素酵素活性はほとんど検知出来なかった. これらのソルビトール関連酵素活性の季節変動に基づいて, 他のバラ科果実のソルビトール代謝と比較しながら, ニホンナシ果実のソルビトールの代謝機構及び糖の蓄積機構を論議した. また酸性インベルターゼ活性はソルビトール関連酵素活性よりもはるかに高く, 糖の転流, 蓄積に対する役割を論議した.