著者
佐野 泰
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.170-174, 1973

球根アイリス•ウエジウッドの休眠期間と発芽適温を知るために実験を行なつた.<br>1. 信州大学農学部実験ほ場に植え付けた球根を, 5月10日より10日ごとに堀り上げて分化葉数を調べたところ, 6月12日に2.5枚となつたのち8月11日まで葉数の増加はみられなかつた. しかしその後再び葉数を増加し, 花芽分化した.<br>2. 京都大学農学部実験ほ場で栽培した球根を6月19日に掘り上げ, 7月6日より20°Cに貯蔵したものについて葉分化を調べたところ, 8月3日までは葉数の増加がみられなかつたが, その後葉数を増加した. 8月3日より15°Cおよび10°Cに移したものも葉数を増加したが, 30°Cに移したものは8月31日においても増加はみられず, その後10月26日におくれて増加しているのがみられた.<br>3. 20°Cに貯蔵した前と同じ材料を用いて, 7月6日, 8月3日, 8月31日, 9月28日および10月26日の5回にわたつて球根を植え付け, 20°Cで発芽を調べたところ, それぞれ9月9.6日, 9月8.6日, 9月15.6日, 10月7.8日および10月31.0日に100%発芽に達した. 子球についても同じ傾向が認められた.<br>4. 同じ材料について8月3日と9月28日の2回, 球根を10°C, 15°C, 20°C, 25°Cおよび30°Cに植え付けて発芽を調べたところ, 8月3日植え付けでは100%発芽に達するのは15°Cが最も早くて28日, ついで20°Cの36日, 10°Cの37日で, 30°Cは65日, 25°Cは73日と著しくおくれた. しかし9月28日植え付けでは10°Cがわずかにおくれたほかは, いずれも10日前後で発芽した. 子球についてもほぼ同じ傾向がみられた.<br>5. 以上の結果より, 球根アイリスは6月中旬より休眠に入り, 8月中旬までつづくが, 休眠末期には15°Cで最も早く発芽し, 25°Cおよび30°Cでは発芽しない. しかし休眠が完全に終了すれば発芽温度の幅が広がり, 10°Cから30°Cまでのいずれの温度でもよく発芽するようになることが明らかとなつた.

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こんな論文どうですか? 球根アイリスの休眠と発芽について(佐野 泰),1973 http://t.co/G2JXBRL2 球根アイリス•ウエジウッドの…
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