著者
金 三純
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.73-79, 1966

タカアミラーゼAはリボフラビンの光増感反応によって不活性化されるが,これはリボフラビンの3重項状態と溶存酸素との相互作用によって生起した活牲酸素によるアミノ酸残基の酸化反応に基因する. Warburg検圧計による吸収酸素量に対する不活性化および酸化アミノ酸残基の関係から,完全失活はトリプトファン,ヒスチジン,チロシン,メチオニン,シスチン残基が約70%, 45%, 20%, 4%, 17%において起る.タカアミラーゼと同じアミノ酸組成のアミノ酸水溶液では酸素吸収がアミラーゼよりはるか大であることから,高分子形成や特殊なconformation形成の効果力が光増感酸化反応の面に現われているようである.したがって酵素の変性効果やさらに酵素-基質複合体形成の効果も光増感酸化反応に変化をもたらす.リボフラビンの光増感酸化反応機構を調べるために,常磁性金属イオンの1重項←→3重項禁止遷移に対する摂動効果を酸素吸収,光不活性化,リボフラビンの螢燐光の消光の相互関連のもとで研究し,光増感反応に活性なリボフラビンの状態は3重項状態と推定した.

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