- 著者
-
尾崎 和典
- 出版者
- Japanese Association of Electoral Studies
- 雑誌
- 選挙研究 (ISSN:09123512)
- 巻号頁・発行日
- vol.22, pp.17-24,194, 2007
郵政民営化法案否決による05年衆院選では,メディアによる「小泉劇場」報道が自民党圧勝の大きな要因となった。衆院解散直後までは,「小泉vs抵抗勢力」という,旧来型の対決構図だったが,法案反対議員全員に対抗馬を立てる「刺客」作戦によって情勢が一変した。これまでにない新たな政治ドラマが展開し,これをワイドショーなどが大々的に取り上げたからだ。世論調査の結果を見ても,「刺客」作戦を機に,小泉自民党への支持が増加したことがわかる。テレビを見る時間が長いほど,自民党支持が強くなる傾向も見られた。<br>その一方で,メディアは「小泉劇場」と同時に進んだ自民党政治の構造変化も有権者に伝えた。そのことが改革への期待となり,小泉自民党の支持につながったといえる。