著者
河村 善也
出版者
Japan Association for Quaternary Research
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.1-12, 1992
被引用文献数
3 5

帝釈峡遺跡群に属する観音堂, 堂面, 穴神, 馬渡の4遺跡から産出した哺乳動物化石の層序学的な分布を, 現在までに得られた資料をもとにまとめた. これらの遺跡から産出した哺乳類の約69%は現在もこの地域に生息する種類で, その大部分は後期更新世の後半から連続してこの地域に生息していたものと考えられる. 一方, 全体の約19%は現在この地域には分布しないが, 他の地域には生息している種類で, これらは後期更新世から完新世にかけてのいろいろな時期に, この地域から絶滅したと考えられる. 残りの12%は絶滅種で, それらはすべて後期更新世末までに絶滅したと考えられる. 現在この地域に分布しない種類や絶滅種のこの遺跡群における消滅層準の年代は, 32,000から21,000年BPの間 (ヒョウ), 21,000から16,000年BPの間 (ニホンモグラジネズミ, ヒグマ属, ゾウ科の動物), 16,000から12,000年BPの間 (ニホンムカシハタネズミ, ブランティオイデスハタネズミ), 10,000年BP頃 (ヤベオオツノシカ), 6,000から5,000年BP頃 (オオヤマネコ) で, これらの年代は各種類の本州におけるおおよその絶滅時期と対応する可能性が高い.

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