著者
野田 潤
出版者
Japan Society of Family Sociology
雑誌
家族社会学研究 (ISSN:0916328X)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.17-26, 2006
被引用文献数
1

本稿は, 近代以降の夫婦関係と親子関係の接続についての人々の了解の形式の変容を明らかにし, 近代家族の情緒的関係の分節化を試みる。読売新聞の悩み相談欄「人生案内」 (1914~2003) の語りを分析した結果, 以下の知見が導かれた。 (1) 夫婦関係と子どもの幸福は1930年代までは無関係とされており, すべての語り手が子どものために頻繁に両親の夫婦仲を重視し始めるのは1970年代以降のことである。 (2) 夫婦関係と親子関係も1960年代までは別個に成立するものとされていたが, 1970年代後半以降, 人々は二つの間に因果関係を想定するようになっている。これらの知見からは, 近代家族の情緒的関係と現在ひとくくりに言われているものが, 近代以降でも変化していたことが明らかになった。なかでもとりわけ現在は, 家族内部の複数の異なる関係を, 容易に影響し合い連動し合うものだとみなし始めている点で, 特殊な時代だと言える。

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