- 著者
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森岡 正博
- 出版者
- 日本家族社会学会
- 雑誌
- 家族社会学研究 (ISSN:0916328X)
- 巻号頁・発行日
- vol.13, no.2, pp.21-29, 2001
- 被引用文献数
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代理母や精子バンクのような最新の生殖技術は, われわれの生命観や人間観家族観に大きなインパクトを与えるであろう。子どもをもちたいというわれわれの欲望は, 具体的な下位欲望へと分節化されてきた。そして, 近代家族規範はそれらの分節化された欲望によって揺るがされる。それら分節化した欲望とは, たとえば, (1) どんな方法でもいいから子どもがほしい, (2) 血のつながった子どもをもちたい, (3) 自分の身体で妊娠出産をしたい, (4) こんな子どもならほしいが, こんな子どもならほしくない, (5) だれかと同一の遺伝子をもった子どもがほしい, などである。これらのうちいくつかは近代家族にとって既知のものであるが, 他のいくつかはまったく新しいものである。借り卵, 借り子宮, クローンなどは近代家族規範を新しいものへと変容させるかもしれない。