- 著者
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蜂屋 良彦
- 出版者
- The Japanese Group Dynamics Association
- 雑誌
- 実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
- 巻号頁・発行日
- vol.18, no.1, pp.47-55_1, 1978
- 被引用文献数
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リーダー行動と上司への満足感やモチベーションとの関係に職務特性や部下の個人的特性が及ぼす影響を, 百貨店従業員を対象に調査し分析した。<BR>結果を要約すると, リーダー行動と上司への満足感の関係に対しては, 職務特性や個人の成長欲求の強さが影響を与えていることが見出された。リーダーシップの課題遂行の強調次元と満足感との関係は, 自律性の低い職務, 多様性の低い職務, 見通しの低い職務において, また, 成長欲求の弱い個人において, 負の相関を示したが, 自律性の高い職務, 多様性の高い職務, 見通しの高い職務, および成長欲求の強い個人においては, このような関係はみられなかった。リーダーシップの集団維持的配慮次元と満足感との関係は, 一般に正の相関がみられたが, フィードバックの多い職務や見通しの高い職務では, それを欠く職務にくらべ, 正の相関は低下した。また, 協力の必要性の大きい職務では, それの小さい職務にくらべ, 集団維持的配慮次元と満足感の間の正の相関は一層高くなる傾向が認められた。これらの結果は大筋において仮説を支持する方向にある。<BR>リーダー行動とワークモチベーションとの関係は低いものであり, また職務特性や個人的特性の影響はあまりみられず, 部分的には予想とは反対の結果が得られた。