著者
八木 浩司
出版者
東北地理学会
雑誌
季刊地理学 (ISSN:09167889)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.83-91, 1993
被引用文献数
5 1

真昼山地・和賀岳東側斜面には最大傾斜方向にほぼ直交あるいはやや斜交し, 山稜側に相対する比高5~6mの逆向き小急崖と線状凹地が直線的に発達する。それら小急崖 (小崖地形) の走行は節理系の卓越走行と調和的で, 小崖地形周辺の基盤岩の前倒が認められた。また線状凹地内の堆積物は小崖地形よりも上部の斜面の沈下によってもたらされたような変形を示している。観察結果から小崖地形は, 山腹斜面が基盤岩の前倒により谷方向への反り返り, さらに山頂部が下部斜面に寄りかかるように沈下したことによって発達したものと考えられる。<br>和賀岳東面における基盤岩の前倒による小崖地形形成の引金として斜面に加速度的な振動をもたらす地震が考えられる。さらに小崖地形内で, 本来水平堆積すべき土壌・斜面物質が急斜し, その土壌・斜面物質の中部層準に約1000年前降下の十和田-a火山灰が挾在することから小崖地形の発達にかかわった最後の地変は1896年の陸羽地震の可能性がある。

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