- 著者
-
伊澤 雅子
- 出版者
- 日本哺乳類学会
- 雑誌
- 哺乳動物学雑誌: The Journal of the Mammalogical Society of Japan (ISSN:05460670)
- 巻号頁・発行日
- vol.9, no.5, pp.219-228, 1983
ノネコの日周活動を知るため, 福岡県の離島, 相の島において, ラジオ・トラッキング法と直接観察法を用いた調査を行なった。発情したオスを除いて, ノネコは1日のうちの大部分を休息に費やした。高いアクティビティーは日没時と日の出時項にみられ, この薄明薄暮型のパターンは, 個体間でも, 季節的にもかわることはなかった。また, ノネコは, 夏にはより夜行性, 冬にはより昼行性の活動を行ない, この変化は気温と強い関係をもっていた。すなわち, 気温が高くなるにつれて, 活動時間は昼間から夜間へと移っていた。また, 雨や発情期もネコの活動に影響を与えていた。ノネコのアクティビティーのこれらの特徴とそれに影響する要因を, 他の食肉目と比較して議論した。