著者
小原 良孝
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳動物学雑誌: The Journal of the Mammalogical Society of Japan (ISSN:05460670)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.59-69, 1982

イタチ科イタチ属の近縁種2種ニホンイイズナとホンドオコジョの染色体をG-, C-バンド法により比較分析し, 核学的観点からその系統類縁性を考察した。両種は形態的によく似ていて, 非常に近縁であるとされているが, 染色体数, 染色体構成は著しく異なっている。ニホンィイズナは2n-38で大型の中部着糸型染色体を6対含んでいる。これら大型染色体6対のうち5対はその短腕部に大きなC-バンド (C-ヘテロクロマチン) 部位をもっている。又, この部位はG-バンドではネガティブな部位として観察される。一方, ホンドオコジョは2n=44であり, 上述のような大型染色体は含まれていない。<BR>ニホンィイズナのG-, C-バンドパターン, ホンドオコジョのC-バンドパターン, 染色体の大きさ及び腕比を基準にした両種の染色体の対応性, 染色体の総長 (TLC) の比較, TCLに対するX染色体の割り合い等の検討から, ニホンイイズナとホンドオコジョの間の核学的関連性はC-ヘテロクロマチンの重複増加, 重複増加したC-ヘテロクロマチン部位への転座, 及びロバートソン型動原体融合によって説明される。

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