著者
中田 圭亮
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳動物学雑誌: The Journal of the Mammalogical Society of Japan (ISSN:05460670)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.117-125, 1986

北海道中央部にある針広混交天然林において, 個体群変動に関連したヒメネズミの一腹仔数 (胎児数) を調べた。一腹仔数の齢変異はわずかであり, 有意ではなかった。頭胴長と一腹仔数との間には有意な正の相関があり, 当年雌でこの関係はより明らかであった。個体群密度は一腹仔数と有意な負の相関を示し, 越冬雌で関係はより明らかであった。妊娠雌は減少相で捕えた3個体を除き, すべて増加相のみで捕獲され, 一腹仔数は増加相で多かった。一腹仔数の有意な季節変化と年変化が見られた。一腹仔数の年平均は, 秋まで繁殖が延びた年で高く, 夏までに繁殖が終わった年で低かった。当年雌は個体群の増加に重要な意義を有していた。一腹仔数の変化は個体群変動過程と関連していた。

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