著者
中田 圭亮
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.189-194, 1976
被引用文献数
1 3

1. 1973年6月30日より1974年6月29日までの期間, 札幌市北区屯田防風林においておよそ15日間隔で捕鼠を実施し, 野鼠に寄生するツツガムシ類について調査した。2.捕獲した野鼠5種239頭よりツツガムシ科3属4種41,961個体をえた。その中, タミヤツツガムシNeotrombicula tamiyaiは道央よりの新記録であった。3.アラトツツガムシの季節消長は一般的に, 春季の大きな発生の山, 盛夏季の下落, 秋季の小規模な山, 冬季の低レベル発生と考えられよう。タミヤツツガムシの消長は, 根雪中と終雪直後にピークをもつ二山型であって, 本州のそれと山の大きさ, 時期において相違がみられた。4.アラトツツガムシに関して, エゾヤチネズミとミカドネズミ間でみられた寄生数の相違は両者の生息場所以外の要因に求められるべきである。5.アラトツツガムシとタミヤツツガムシは耳介内に, サダスク・ガーリェプツツガムシとヤマトツツガムシは鼠体後半部に寄生する傾向がみられた。6.植生の単純化に伴いツツガムシ種類数の減少と特定種の寄生数の増加の傾向がうかがわれる(表3)。
著者
明石 信廣 南野 一博 中田 圭亮
出版者
北海道立林業試験場
雑誌
北海道林業試験場研究報告 (ISSN:09103945)
巻号頁・発行日
no.44, pp.97-108, 2007-03

1985-2005年の一般民有林及び道有林における野ネズミ発生予察調査資料に基づき、市町村を単位として各年の10月のエゾヤチネズミ平均捕獲数をクラスター分析し、その結果をもとに、支庁などの行政界や地形を考慮して全道を20地域に区分した。その地域ごとに、10月の調査においてそれぞれのワナにエゾヤチネズミが捕獲される確率を目的変数、その調査地における6月及び8月の捕獲数のそれぞれ3次多項式、6月の捕獲数と8月の捕獲数の交互作用を説明変数とする一般化線形モデルにより、10月のエゾヤチネズミ捕獲数を予想するモデルを作成した。モデルによる1995-2005年の10月の予想捕獲数と実際の捕獲数の相関係数は0.726であった。
著者
中田 圭亮
出版者
北方林業会
雑誌
北方林業 (ISSN:03888045)
巻号頁・発行日
vol.37, no.12, pp.p320-322, 1985-12
著者
中田 圭亮 明石 信廣
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement
巻号頁・発行日
vol.29, 2013

&nbsp;ミズハタネズミ亜科のネズミの個体数変化が季節的また年次的に減衰していることが近年多く報告されている.従前と異なるこれらの減衰事例は次のように指摘されている:1)年次的なピークが縮小した,2)ピークの間隔が延長した,3)季節変化が減少した,などである.ヨーロッパではとくに 1970年代からタイリクヤチネズミ( <i>M. rufocanus</i>)の密度が長期にわたり減少していることが観察されているが,ここでは北海道に分布する亜種であるエゾヤチネズミ( <i>M. r. bedfordiae</i>)での状況を紹介したい.<br>&nbsp;1970年から 2012年にいたる 43年間の発生予察資料を利用して,道有林の 13の地区を調べたところ,エゾヤチネズミで観察されたのは多様な変動系列である.一定の傾向や大きな変化を示さない地区がある一方,1990年代以降に個体数変化が減衰する地区,また逆に拡大する地区もあった.例えば,後志地区などでは特別な傾向はなく,ピーク密度や季節変化の振幅などにも大きな変化はなかった.一方,顕著な減衰傾向を示した釧路地区などではピークが低密度化し季節変化も小さくなっていた.ピークの間隔は延長していなかった.また個体数変化が拡大した上川南部地区などでは,ピークが高密度化するとともに季節変化も大きくなっていた.ピーク間隔は変わっていないように見える.こうした変化が始まった時期は各地区間で同じではなく,さまざまであることもわかった.さらに年次変化を統計的に分析すると,北海道内は 3型から 5型に大きく類別可能であり,先行事例とは異なる地域的なまとまりが観察された.エゾヤチネズミの個体群動態は類似したパターンを繰り返すほか,新しい傾向を示しつつ移り変わっている.
著者
中田 圭亮
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.87-91, 1987
被引用文献数
1 5

Changes in numbers, recruitment of new individuals, survival of residents, cohort structure and sex ratios of small rodents were examined for colonized populations in the areas from which individuals were removed in advance in the early spring of 1984 and 1985. For <i>Clethrionomys rufocanus bedfordiae, Apodemus argenteus</i> and <i>A. speciosus ainu</i>, these demographic variables did not differ much from those of control populations.
著者
中田 圭亮
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.284-285, 1984
被引用文献数
1

Mean range length and population size on the quadrat increased in the order of three, four, five night trappings. Estimates of population density based on three night trappings were practically reliable since they were not very different from those derived from data of four, or five night trappings.
著者
中田 圭亮
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳動物学雑誌: The Journal of the Mammalogical Society of Japan (ISSN:05460670)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.117-125, 1986

北海道中央部にある針広混交天然林において, 個体群変動に関連したヒメネズミの一腹仔数 (胎児数) を調べた。一腹仔数の齢変異はわずかであり, 有意ではなかった。頭胴長と一腹仔数との間には有意な正の相関があり, 当年雌でこの関係はより明らかであった。個体群密度は一腹仔数と有意な負の相関を示し, 越冬雌で関係はより明らかであった。妊娠雌は減少相で捕えた3個体を除き, すべて増加相のみで捕獲され, 一腹仔数は増加相で多かった。一腹仔数の有意な季節変化と年変化が見られた。一腹仔数の年平均は, 秋まで繁殖が延びた年で高く, 夏までに繁殖が終わった年で低かった。当年雌は個体群の増加に重要な意義を有していた。一腹仔数の変化は個体群変動過程と関連していた。