著者
小山 清男
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.97-102, 2007

絵画空間が二重構造となっている絵画がある.すなわち二つの空間のモンタージュ, 空間を合成することによって形成された絵画空間による絵画作品のことである.ベン・シャーンの画集を繰ってみていくと, たとえばサッコ・ヴァンゼッティ・シリーズとか, ラッキー・ドラゴン・シリーズなど, またそのような社会的な問題から離れた日常的な情景を描いたものの中にも, 空間のモンタージュによるいくつかの作例が見出された.ここではそれらの数点を採り上げて, できるだけ具体的に, どのように空間が合成されているかを考察した.とくに透視投象からみると, 図法的にはかなり正確でありながら, モンタージュによる空間の合成がなされていることが多い.そのように二重構造となった絵画空間の造形的な効果, あるいはまた, そのことと作品の内容, 情感との関連を探ろうとした試論である.

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