著者
小山 清男
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.39-44, 2000 (Released:2010-08-25)
参考文献数
8
著者
小山 清男
出版者
JAPAN SOCIETY FOR GRAPHIC SCIENCE
雑誌
図学研究
巻号頁・発行日
vol.32, pp.73-78, 1998

われわれが日常的に眼にし、また用いる漢字には、長い歴史があり、形の上で多様に変化して現在に至っている。漢字は本来象形文字であって、対象となる具象的なものの形を、線によって単的にあらわし、それが文字としての意味を担うようになった。形としてみれば、それらはすべて線の構成によって成り立っている。したがってこれを図学的にみることも、必らずしも不当なことではないと思われる。主として甲骨文では、写実的であったものが、しだいに形を変えて、金文、篆文となり、それが整理されて現在の明朝体の活字となった。その変遷の過程に、図形としての興味深いものがいろいろみられる。本研究では、まず平面図形としての漢字の特質を瞥見し、さらに図学的な視点から、漢字の原初的な形が、正投象における平面図、立面図、断面図、また透視投象的なものから、どのように現在の漢字が形成されてきたかをみるとともに、それらに関連する絵画作品と対置してみていこうとする試論である。なお、図学の分野を広げるとともに、それをいくらかでも親しみやすいものにしようとする、図学教育への想いも、ひそかに含まれているといえるかもしれない。

2 0 0 0 OA 直弧文考

著者
小山 清男
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.39, no.Supplement1, pp.151-156, 2005 (Released:2010-08-25)
参考文献数
4

わが国古墳時代に, 「直弧文」という独特な文様がある。なぜか他国にその類例がなく, また6世紀後半以後, 国内にもそれを伝承するものはみられない。その定形は装飾古墳の石障, 石棺などに施されたもので, 正方形に近い方形を枠として, その2本の対角線と, 帯状のテープがからみ合った図柄である。また貝輪などの装飾に施されたものは, 方形の枠はなく, 不整形な文様となっている。その構成はひじょうに複雑であり, しかも動きの表現, とくにほとんどが回転運動をあらわしている。ここではそれらの代表的な作例3点について, できるだけ具体的に, 分析, 考察して, その特質を明らかにしようとする試みを述べる。
著者
小山 清男
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.21-27, 1994 (Released:2010-08-25)

絵巻は日本美術独自の形式である。絵巻に描かれた場景には, しばしば建物の外形, 内部があらわされており, 図学の用語でいえばそれらはすべて, 斜投象的図法で描かれているようにみえる。この図法にはいくつかの種類がある。絵巻の画面にはそれらを適切に用いて描かれた, すぐれた作例が多くみられる。ここではこれらの斜投象的図法から, 二つの著名な絵巻, 源氏物語絵巻と当麻曼茶羅縁起絵巻とを考察してその絵画空間を明らかにしたい。
著者
小山 清男
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.37-42, 2000 (Released:2010-08-25)
参考文献数
6
著者
小山 清男
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.51-54, 1999-03-01
参考文献数
6
著者
小山 清男
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.33-38, 2001 (Released:2010-08-25)
参考文献数
5
著者
小山 清男
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.97-102, 2007

絵画空間が二重構造となっている絵画がある.すなわち二つの空間のモンタージュ, 空間を合成することによって形成された絵画空間による絵画作品のことである.ベン・シャーンの画集を繰ってみていくと, たとえばサッコ・ヴァンゼッティ・シリーズとか, ラッキー・ドラゴン・シリーズなど, またそのような社会的な問題から離れた日常的な情景を描いたものの中にも, 空間のモンタージュによるいくつかの作例が見出された.ここではそれらの数点を採り上げて, できるだけ具体的に, どのように空間が合成されているかを考察した.とくに透視投象からみると, 図法的にはかなり正確でありながら, モンタージュによる空間の合成がなされていることが多い.そのように二重構造となった絵画空間の造形的な効果, あるいはまた, そのことと作品の内容, 情感との関連を探ろうとした試論である.